文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

京都のハーフコートバスケットに思わぬ苦戦

アルバルク東京vs京都ハンナリーズのゲーム1。主力を2人欠く京都のハーフコートバスケットに苦戦するも、リードして以降ペースを握ったA東京が78-71で勝利した。

京都はジョシュア・スミスが前節の西宮ストークス戦での乱暴行為により、5試合の出場停止処分を受け不在。さらにここまで56試合で先発を務めてきた伊藤達哉もケガのため欠場した。それでも序盤は不利に見られた京都が先行する。純粋なポイントガードがいない京都はボールハンドラーになった片岡大晴が積極的にシュートを沈めていく。守っては最後までシュートにプレッシャーをかけ失点を防いでいった。

ノーマークのシュートを決めきれず、開始約4分で0-7とリードを許したA東京だが、竹内譲次のミドルシュートで初得点を挙げると、これまで入らなかったシュートが決まり始め、田中大貴の3点プレーとなるバスケット・カウントで追いつき、15-15で第1クォーターを終えた。

互いにオン・ザ・コート「2」の第2クォーター。京都は復帰したジュリアン・マブンガを起点に攻め立て、マブンガがこのクォーターだけで10得点の荒稼ぎを見せる。開始4分で26-17としたところでA東京はタイムアウトを要請した。

ここでA東京はディフェンスの強度を一段階上げて立ち直る。ボールマンへのプレッシャーとディナイによって京都のボールラインを上げ、パスワークを分断。苦し紛れのパスをスティールし、連続で速攻から6得点を稼いで猛追した。

田中がワンマン速攻からダンクシュートをミスするも、安藤誓哉がフォローしバスケット・カウントを獲得。田中が苦笑いする珍しいシーンも見られるなど、A東京が流れに乗ったかに見えたが、京都も譲らず33-33と全くの互角で前半を終えた。

終盤に先行したA東京が試合巧者ぶりを発揮

後半に入り、ザック・バランスキーが2本の3ポイントシュートを沈めれば、永吉佑也の3ポイントシュートにバスケット・カウントと一進一退の攻防が続く。

「相手が40分間ゆっくりハーフコートで攻めてくるオフェンスをやってきました。ずっと同じようなリズムで試合がずっと進んでなかなかリズムをつかみずらくて、終盤までこういう展開になりました」と田中が振り返るように、リードチェンジ6回、同点になること7回という接戦が終盤まで続いていく。

試合が動いたのは最終クォーター残り5分、ジャワッド・ウィリアムズが3ポイントシュートを沈め66-64と勝ち越した場面から。直後のディフェンスで安藤のスティールから速攻に転じ、馬場がファウルを受けつつシュートをねじ込んだ。A東京は終始追いかける展開が続いていたが、初めて点差を2ポゼッション差にし先行する形になった。

京都はマーカス・ダブとマブンガを中心に加点していくが、2人に偏るオフェンスは次第にA東京ディフェンスに対応されていく。そして残り1分18秒、A東京はパスコースを潰してマブンガのターンオーバーを誘発すると、田中が3ポイントシュートを沈めて勝負アリ。ファウルゲームすらさせない試合運びで、終盤まで続いた接戦を勝ち切った。

主力を欠く京都「いるメンバーで普通にやるだけです」

勝利したA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「東地区2位が懸かった試合、非常に大事な試合をモノにした」と東地区2位を確定させた結果に満足気。また、「スミス選手がいない分、攻守ともに軽くなって少し動きが出ていた。逆にそのほうが我々にとってはタフだった」とスミス不在がA東京にとってはマイナスに作用したと明かした。

一方、接戦をモノにできなかった京都。浜口炎ヘッドコーチは「後半、オフェンスリバウンドを7本取られたのと、ターンオーバーが後半で7つ」という2点を敗因に挙げ、「細かいことはいろいろあるが、馬場君が3ポイントシュートを決めきったのが素晴らしかったです」と5本中4本の3ポイントシュートを決めた馬場を称えた。

ただ、主力を欠く苦しい布陣となったことを敗因にしようとはしなかった。「誰かが30点、40点取るようなチームであれば厳しいですけど、特にウチは誰がいないというのが関係ないのでいるメンバーで普通にやるだけです」と浜口ヘッドコーチ。実際に最後までA東京を苦しめた。

京都のターンオーバーは11とそこまで多くはなかったが、後半だけでターンオーバーから15点を獲得したA東京の抜け目のない試合運びが接戦でモノを言った。また京都としてはフリースローの確率が17本中7本の成功と低調だったことも、少なからず結果に響いた。

今日の勝利でA東京は東地区2位を確定させた。そしてその結果、チャンピオンシップの1回戦で再び両者は対戦することとなった。「今日と同じような、どちらに転んでもおかしくない試合になる」とルカコーチは予言する。今日の試合はチャンピオンシップ前哨戦。手のうちを隠すか、チームに勢いを付けるために全力で勝ちに行くか。両指揮官の駆け引きにも注目だ。