写真=Getty Images

ベン・シモンズを抑え、若いテイタムとロジアーが躍動

東カンファレンス準決勝、セルティックスvsセブンティシクサーズの初戦。戦前の予想では有利と見られたシクサーズが対抗できたのは第2クォーターの途中まで。あとは終始セルティックスが主導権を握り、117-101で快勝した。

流れを呼び込んだのはベテランのアル・ホーフォードだった。第2クォーター残り7分、33-33からまずはジョエル・エンビードをフィジカルで押し込んでジャンプシュートを決めると、直後のディフェンスでエンビードを止める。そして攻めに転じると、ピック&ロールでエンビードからマークを受け渡した軽量級のマルコ・ベリネッリを難なく突破し連続得点。シクサーズがタイムアウトを取るも流れは止まらない。ゴール下までアタックしたシェーン・ラーキンのパスを受けてまたも得点。そして自分にマークが集まったと見るやハンズオフでジェイソン・テイタムのアタックをうながして得点を演出すると、再びピック&ロールから今度はヘルプに来たアミア・ジョンソンに押し勝ってシュートをねじ込み、すべて自分が絡むプレーで10-0のラン。スコア以上に、プレータイムで2分半、実際の時間でも約7分間とあっという間の出来事だったが、これがシクサーズの勢いを大きく削いだ。

その後、シクサーズが勢いを取り戻すことのないようセルティックスは徹底的にベン・シモンズをマークした。新人王をほぼ確実なものとしているシモンズは、ポイントガードながらインサイドへのアタックが特徴。シモンズに守備組織を突破されると得点が続くし、そこからのパスでシューター陣が生きてくる。

シクサーズはレギュラーシーズンを16連勝で締め、プレーオフ1回戦を4勝1敗で突破。つまり直近21試合の成績は20勝1敗で、シモンズはこの間に19.3得点10リバウンド10アシストと『平均トリプル・ダブル』を記録している。だが、この試合では沈黙させられた。18得点は挙げたものの、セルティックスのフィジカルなマークで試合から消され、7リバウンド6アシスト、そしてターンオーバー7と低調な出来に終わっている。

若く勢いのあるシクサーズは恐るべきポテンシャルを持っているが、そのスイッチを入れるのはベン・シモンズだ。セルティックスはそのシモンズを自由にさせず、ほとんどの時間帯で2桁のリードを保った。

さらにセルティックスの攻撃を引っ張ったのは2年目のテリー・ロジアーと1年目のジェイソン・テイタムだった。テイタムは積極的なアタックを仕掛けてはファウルをもぎ取り、フリースロー12本中11本を決め28得点。プレーオフ1回戦から好調のロジアーは9本中7本の3ポイントシュートを決めて29得点を記録。

試合前に懸念されたボストンのファンが作り出す『雰囲気』もセルティックを後押しした。シモンズがボールを持つと「ルーキーじゃない」のコールが起こる。残り3分30秒、107-92からテイタムが3ポイントのシューティングファウルを誘い、決めれば勝利を大きく引き寄せるフリースロー3本を得ると、「彼がルーキーだ」のコールが沸き上がった。シモンズは今シーズンの新人王になることがほぼ確実と見られているが、ドラフト指名を受けたのは2年前。そういう意味でボストンのファンは2017年のドラフト全体3位指名を受けて今シーズン開幕前に加入したテイタムを後押しした。テイタムはこのフリースローを3本とも決めて110-92に。こうなると、もはやシクサーズに反撃する力は残っていなかった。

アル・ホーフォードは試合後のインタビューで、「ジェイソンとテリーが最高のプレーを見せた。プレーオフではレギュラーシーズンと同じプレーじゃ通用しない。簡単なことじゃないけど、それを理解してやっているのはすごいよ」と若い2人のステップアップを称えつつ、「最高のタレントがウチのチームにいて良かった」と、有望な若手が多いと評判のシクサーズにタレントで劣っていないことを強調した。

敵地の雰囲気に飲み込まれたシクサーズ。ホームコート・アドバンテージはセルティックスが有するだけに、勝ち上がるにはTDガーデン攻略が必須となる。逆に考えれば、第2戦で勝つことができれば一転してシクサーズ有利に。エンビードは言う。「確かにすごい雰囲気だったが、俺はファンがトラッシュトークをするのも好きだから気にはならない。次を見てろよ」