田中大貴が欠場したアルバルク東京を救う働き
4月30日、アルバルク東京は完全アウェーとなる沖縄の地で琉球ゴールデンキングスに75-61で快勝。前日に60-77で敗れた雪辱を果たしている。この試合、A東京は体調不良の田中大貴、前日の試合で左足を負傷した菊地祥平と、高い守備力を誇る2人が揃って欠場。さらにザック・バランスキーも故障の影響からプレータイムを制限しないといけない苦境だったが、それでもわずか61失点と自慢の堅守を披露した。
A東京の馬場雄大は、この試合で約30分出場、13得点4アシスト3スティールと攻守で勝利に貢献。また、第4クォーター残り約3分半には持ち味であるゴール下への切れ味鋭いアタックでバスケット・カウントをもぎ取っている。リードを9点に広げるビッグプレーは、大きなインパクトを与えるものだった。
「こういう状況でプレータイムが増えるのは分かっていました。ピック&ロールで仕掛けていくことなど、僕の役割が増えるかなと思っていたので、勝利という結果に結びついて良かったです」
このように馬場は振り返り、中心選手の一人としてチームを勝利に導けたことに安堵の表情を見せる。積極的なアタックを見せていた彼だが、一方で自分が得点を量産しなければという意識は特になかったと言う。「自分が取ってやろうという気持ちはあまりなかったです。ただ、ディフェンスの状況を見て攻める時は攻めますし、パスをする時はパスをする。行き当たりばったりではなく、先を読んだプレーは練習中から意識しています」
ケガから復帰し「自分の強みを感じることができた」
満身創痍の中でも同一チーム相手への連敗を阻止。あらためて常勝軍団の意地を見せたA東京であるが、馬場はチームの総合力の高さ、勝者のプライドについて自信を語る。
「負けず嫌いの選手ばかりなので、口には出さないですけど同じ相手への連敗は絶対に嫌だという思いを試合前から感じていました。一人ひとりが何をすべきかを、それぞれの責任について真摯に向き合いそれをコートで実行できた。追いつかれた時でも全員が他人任せにならず、自分で行く時は行くというプレーができていた。ルカ(パヴィチェヴィッチ)コーチも普段から誰か特定の選手に偏らずにプレーさせることを意識させています。今日は正中(岳城)さんが、いきなり出て活躍されましたし、みんな準備ができている。あらためて誰が出ても戦えることを今日の試合ではっきりさせることができました」
1勝1敗で終えたことの意義について「ここで連敗するのと勝って終えるのでは大きな違いです。琉球さんとチャンピオンシップでやらないとは限らない。次に戦う前にマイナスのイメージを持つことは防ぎたいですし、それは今日、勝ってプラスに持っていけた」と続けている。
馬場個人としても「ケガから復帰して一つ、ここで手応えを得られました。あらためて自分の強みを感じることができたのはかなりプラスだったと思います」と大きな収穫を得た模様だ。
「俺が俺がとはならず、うまく周りを生かしていく」
過密日程の中、田中大貴がチャンピオンシップに向け、どれだけコンディションを回復させられるのかは不透明。菊地のケガの具合も心配であり、馬場に『エースの役割』を期待する声はこれからより大きくなってくる。
馬場は、自身の考えるエース像についてこう表現している。「求められている仕事を全うできたらエースになりますし、それをこなせなかったらエースにはならない。チームとして成功する、成功しないでエースになってくる。ただ、『俺が俺が』とはならずに、自分としてうまく周りを生かしていくことを意識しています」
この発言からうかがい知れるのは、馬場が自分のことをエースと思える時、それはA東京がタイトルを取った時ということだ。「僕がエースとなって引っ張りたい」とは明言しない馬場ではあるが、その責任を背負う覚悟は十分にできていると感じずにはいられない。故障から復帰した約1カ月、まだまだコンディションは回復途中であるが、チャンピオンシップに向け心身の準備は確実に進んでいる様子だ。
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