ハイペースの打ち合い、制したのは千葉ジェッツ
千葉ジェッツは4月28日、29日に行われたホームでのレバンガ北海道戦に連勝。東地区優勝に向けてマジックを1とする大きな勝利を手にした。
昨日の第2戦、試合開始早々両チームは積極的にシュートを狙う。アキ・チェンバースの連続得点で千葉がペースを上げると、北海道もこれに応じる形でマーク・トラソリーニと川邉亮平の得点で食らい付き、開始5分で16-16というハイペースな点の取り合いとなった。それでも北海道はハイペースの展開の中でパスミスが相次ぎ、第1クォーターでターンオーバー6。対照的に千葉はターンオーバーわずか1で、マイケル・パーカーの速攻が飛び出すなど得意のトランジションオフェンスで上回る。26-19と千葉リードで迎えた第2クォーター、北海道のゾーンディフェンスの前に一度は得点が止まるが、その後は5本の3ポイントシュート成功で攻略してみせた。
千葉が得意の堅守速攻スタイルを発揮するも、なかなかリードが広がらない。これは北海道のエース、トラソリーニを止められなかったからだ。トラソリーニは強引なアタックからも技巧的なシュートでも、そしてゴール下だけでなくミドルレンジ、また3ポイントシュートも次々と決めた。試合を通じて5本中5本成功の3ポイントシュートを含むフィールドゴール20本中17本成功(85%)で42得点を荒稼ぎ。千葉がどれだけ厳しいディフェンスをしても止まらなかった。
第4クォーター立ち上がりから川邉、ダニエル・ミラーに連続得点を奪われ65-62と1ポゼッション差に迫られた千葉だが、ここから攻守のギアを1段階上げる。このタイミングで北海道は頼みのトラソリーニが自らのミスで失ったボールを取り返そうとした結果、個人4つ目のファウルを犯してしまいベンチへ下がる羽目に。ディジョン・トンプソンが欠場している北海道は外国籍選手がミラーだけとなってしまった。この機を千葉は逃さず、9-0のランで76-64と2桁までリードを広げ、その後は付け入る隙を与えず97-84で勝利した。
戦線復帰の西村文男が勝利を引き寄せる活躍
北海道は東地区首位の千葉を終盤まで苦しめながらも連敗。水野宏太ヘッドコーチは「終盤、自分たちが一つにならなくてはいけない時間帯になかなか一つになりきれず、大事なところでターンオーバーから簡単に点数を入れられてしまう部分があった」と敗因を挙げ、「オフェンスの確率は良く、ディジョン・トンプソンがいない中で84点取って、点数的には勝たなければいけない試合展開に持って行けた中、ファウルトラブルのところでのディフェンスでやり切れない部分が出てしまった」と試合を振り返る。
勝利した千葉ジェッツの大野篤史ヘッドコーチは「トラソリーニのところでシュートが当たってしまったので苦労しましたけど、他のところでしっかり絞れました」と語る。「昨日は折茂(武彦)さんのところでやられました。折茂さんの得点はただの得点ではなく、レバンガに勢いを持たせるのでそれだけは徹底して抑えようと。そして後半、マイク(パーカー)がうまく守ってくれて、良いディフェンスからトランジションオフェンスで自分たちの流れを作れた」と、ポイントを押さえた戦い方で勝利を呼び込んだチームを評価した。
また千葉では右膝内側側副靱帯損傷で1カ月強の戦線離脱を強いられていた西村文男が今節に復帰。この試合では第4クォーターの勝負どころで粘る北海道を一気に突き放した時間帯の攻撃をリードし、勝利に貢献した。本来であればもっと少ないプレータイムの『試運転』だったはずが、「調子が良かったので引っ張ってしまいました」とは大野ヘッドコーチの弁。
西村自身によれば、まだ痛みは残っているものの順調に回復しているとのこと。まだコンディションも試合勘も戻す必要があり、試合後の取材でも「まだハアハアしてるんですけど(笑)」とジョークを交えつつ、このタイミングで戻って来られたことに安堵している様子。ここに来て富樫勇樹とはタイプの異なるポイントカードが復調したことは心強い。
千葉はこの勝利で東地区優勝マジックを1に縮めた。レギュラーシーズン残り3試合のカードは川崎ブレイブサンダースと琉球ゴールデンキングス。上昇気流に乗るジェッツはここを勝ち切ってチャンピオンシップを迎えることができるか。楽しみなカードが残っている。
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