文=丸山素行 写真=Getty Images
強度の高いディフェンスで主導権を奪取
栃木ブレックスvsサンロッカーズ渋谷のゲーム2。失点を55点に抑えて勝利した第1戦に続き、第2戦でも持ち前のディフェンスが機能した栃木が74-61で勝利した。
栃木は竹内公輔がベンチから外れたが、「タフなスケジュールとこれまで蓄積した疲労を考慮」した結果であり、「ケガではない」と安齋竜三ヘッドコーチは試合後に明かした。
第1クォーター序盤から栃木の激しいディフェンスがSR渋谷に牙をむき、ビッグマンのダブルチームでターンオーバーを連続で誘発する。攻めに転じればスクリーンプレーから優位な状況を作り出し、確実にそのシュートを決めて、開始2分で8-0と走った。残り5分、セドリック・ボーズマンが自身のブロックショットを速攻につなげ、13-2と早々に2桁のリードを奪う。
第2クォーターに入っても栃木のディフェンスの強度は落ちない。「栃木のプレッシャーの前にリングにアタックするとかオープンショットを作るチャンスが特に前半はなかった」とSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチが言うように、SR渋谷の攻めは停滞した。
だが栃木も、このクォーターだけで5ターンオーバーを犯すなど突き放すことができなかった。前半を終えて29-21とロースコアの重たい展開になったが、ディフェンスが崩れない栃木が後半もリードを広げていく。
喜多川修平がフリースローを2本沈めて点差を2桁に乗せると、ジェフ・ギブスがインサイドで奮闘し6得点を記録。残り2分には、竹内の代わりにプレータイムを獲得した橋本晃佑の3ポイントシュートが決まり、この日最大となる19点のリードを奪った。
3点差に迫られるも、地力の強さを証明
栃木の楽勝ペースかと思われたが、「リングにアタックしたり、そこから中、外という展開も生まれた」と勝久コーチが言うように、SR渋谷が栃木ディフェンスを攻略し始める。オフ・ザ・ボールの動きでノーマークを作り、長谷川智也が外から射抜き、ロバート・サクレがインサイドで加点して、最終クォーター開始1分半で10-0と猛追した。
悪い流れを断ち切れない栃木は、サクレにダンクを見舞われ、57-54と猛追されたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。それでも安齋コーチが「(鵤)誠司とCB(セドリック・ボーズマン)が良いスペーシングで3ポイントを入れてくれたので、こういう勝ちゲームにつながった」とコメントしたように、この直後に2人の3ポイントシュートが決まったことで栃木は落ち着きを取り戻す。
追い上げられる時間帯では淡泊なオフェンスが目立った栃木だが、3点差に迫られたことで再び攻守ともにスイッチが入った。残り1分50秒、生原秀将が3ポイントシュートを沈め69-59、点差を2桁に戻したところで勝負アリ。3点差まで迫られたものの、一度もリードを許すことなく、全員得点のおまけつきで栃木が連勝した。
「どんな時でもハードにプレーする姿勢」を称賛
安齋コーチは「結果的に60点前半で抑えられたというのは、(ディフェンスが)できているなとは思うんですけど、落としてくれたシュートが多かったり、3ポイントシュートをやられすぎました。守り方だったり油断だったりというのは、もう少し全員で意識してやっていかないといけない」と勝って兜の緒を締めた。
一方、敗れたSR渋谷の勝久コーチは「どんな時でもハードにプレーする姿勢があり、あらためて栃木は素晴らしいチームだなと思いました」とコメント。また「昨日と同じが、それ以上と感じました」とディフェンスの強度に言及し、「栃木さんはプレーオフを見据え、1試合目に勝っても、2試合目にそれ以上のことをやらないといけないということを共有している。それが伝わりました」と称賛の言葉が目立った。
竹内を休ませたように、栃木はチャンピオンシップを見据え、いつも以上に主力のプレータイムを抑えた。若手選手に成長する機会を与え、なおかつコンディションを調整しながらも勝ち切ることができたことは、栃木の調子の良さを表している。
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