文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
前線からのディフェンスで劣勢を覆した栃木
栃木ブレックスvs富山グラウジーズの第2戦。前日の第1戦と同様に富山は上江田勇樹が、栃木はセドリック・ボーズマンがケガのためベンチを外れた。そして、富山はエースの宇都直輝が今シーズン初めて欠場。宮永雄太が先発ポイントガードを務めた。
先手を取ったのは富山。ジェフ・ギブスのミスマッチを突いたデクスター・ピットマンを起点に、内外から得点を重ねる。ディフェンスでもスイッチを多用し、ズレを作らせずタフショットを打たせていった。第1クォーター残り3分、サム・ウィラードの3ポイントシュートで16-6とリードを2桁に乗せた。
それでも栃木は第2クォーターから前線からディフェンスを仕掛けて逆襲開始。オフェンスリバウンドから得点し、ターンオーバーを得点につなげるなど、栃木の強みが爆発し、流れを引き寄せた。竹内公輔の3オフェンスリバウンドを筆頭に栃木は10-1とオフェンスリバウンドで圧倒。14-0のビッグランを生み出して34-32と逆転して前半を終えた。
ポゼッション数で大きく上回り富山に競り勝つ
後半に入っても栃木のペースは変わらない。オン・ザ・コート「1」の時間帯、宇都を欠く富山は起点となるピットマンをダブルチームで封じられると得点が止まる。このクォーターでも6-0とオフェンスリバウンドで優位に立った栃木は着実に得点を重ねていき、残り4分には竹内のフリースローで最大15点のリードを奪った。
その後、クリント・チャップマンがテクニカルファウルをコールされるなど、崩れてもおかしくない場面だったが、富山は粘り強くディフェンスを継続。栃木のシュート精度の低さにも助けられ、橋本尚明の3ポイントシュートで締めて5点差まで詰め寄って最終クォーターを迎えた。
栃木は堅守とリバウンドという持ち味こそ発揮するがチャンスを決められず、拙攻が続く間に点差を詰められ、残り3分には3点差まで肉薄された。だが、この勝負どころでロシターがバスケット・カウントを奪取。ボーナススローを外すもリバウンドを自らもぎ取ると、生原秀将のフリースローにつなげ、一連の流れで4点を奪って突き放すことに成功した。
残り2分で8点差。これだけならセーフティーリードではないが、栃木はディフェンスの強度を保ち、焦る富山から2つのターンオーバーを誘発。終盤の攻防で上回り、69-65で逃げ切った。
連勝も指揮官は「弱いチームだと再確認しました」
安齋竜三ヘッドコーチは「富山の素晴らしいエナジーとゲームコントロールに翻弄されたゲームだったと思いますが、最終的に勝負どころでやるべきことができて勝ちを拾ったのは大きかった」と、勝利という結果には一定の満足度を得た様子。
だがその一方で、「この2試合は自分たちがやろうとしているルールを遂行できない時間が多くて、できた時間帯は半分以下。この時間帯を伸ばしていかないと上のチームと戦っていけない」と話し、「本当に弱いチームだと再確認しました」とネガティブな発言が目立った。
敗れた富山の指揮官、ミオドラグ・ライコビッチは「最終的に22本のオフェンスリバウンドを取られました。これでは勝つのは難しいです。トランジションや他のところは止めることができましたし勝つチャンスはありましたが、それを生かせなかった」と敗因を語った。
またライコビッチコーチが「テクニカルファウルやアンスポーツマンライクファウルが多すぎた」と話したように、富山は速攻を止めるシーンで2度のアンスポーツマンライクファウルを取られ、判定に不信感を抱いたことでテクニカルファウルまでコールされた。判定の是非は別にして、4点差のクロスゲームで戦う意識がジャッジに向いたマイナスは大きかった。
栃木はチャンピオンシップ進出に大きな連勝。一方、富山は名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのゲーム差が4に広がる痛い連敗。チャンピオンシップ争いに明暗が分かれた一節となった。
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