文=丸山素行 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

悔やまれるトランジションディフェンス

栃木ブレックスはレバンガ北海道との直接対決を1勝1敗で終えた。2連勝していればチャンピオンシップ出場はほぼ決まりという状況だったが、第2戦を落とした。

互いに点を取り合う攻防を繰り広げたが、第4クォーターラスト1分を切って栃木が力尽きた。内容に乏しかったわけではないが、欲しかった勝利が手に入らなかった悔しい敗戦を、田臥勇太はこう総括する。

「我慢しながら戦い続けたんですけど、ちょっとした部分や細かい部分、守り切るところや決め切るところ、そういう1つ2つの差がこの点差になってしまったのかなという試合でした。小さな積み重ねが40分間の中で勝敗を決めるので、今日は北海道さんのほうが上でした」

栃木が主導権を握れなかった要因の一つに、速攻を何度も許したトランジションディフェンスのまずさが挙げられる。「しっかりとハリーバックして、コミュニケーションを取って簡単にやらせない。細かいところの一つもそこなので、しっかりと練習中からコミュニケーションを取る意識の精度をもっと上げていきたいです」

「駆け引きの精度は上げないといけない」

オフェンスにも課題はあった。77得点は少なくはないが、田臥は駆け引きが足りなかったと反省している。「ズレを作って、ピック&ロールもしっかり使って、そこで1回で攻め切るのではなく、そこを起点としてパスをさばくとか、1つで終わらず、2つ3つという展開がもっとできれば良いリズムに繋がります。そういう駆け引きの精度は上げないといけない」

結果だけを見れば、終盤のジェフ・ギブスのファウルトラブルが第2戦の敗因となった。攻めの中心を失ったことで、タフショットを放つシーンが増えオフェンスが停滞した。それでも田臥は「ジェフはアタックしてくれて、インサイドを攻めることは一つの武器です。頼りすぎたとかはないです」とギブス依存を否定。それよりも、大胆さと慎重さのバランスで、慎重さが上回ったことがオフェンスの停滞を生んだと田臥は分析する。

「重くなってしまうと、どうしても丁寧にいかなきゃいけないと思ってしまうので仕方ない部分があるんですけど、自分のプレーもそうでしたし、僕がベンチで見ていても、打てる部分でもっと打ってもいいと思いました」

敗戦から学びを得る習慣「今日も良いレッスンになった」

田臥も思い切りの良さが足りなかったことを認めたが、そうしたオフェンスの停滞を生む要因はあくまでもディフェンスに起因していると田臥は言う。

「自分たちはディフェンスからリズムを作らないといけないです。ディフェンスが良い時に、ボールをシェアしたり、早い展開など良いオフェンスにつながります。オフェンスよりやっぱりディフェンスです。北海道さんも良いチームですので、自分たちの得意なところを抑えてくる。抑えられた時にどう対応して、展開をしないといけないのかということですね」

攻守は表裏一体。それを理解し、栃木がディフェンスマインドのチームカラーを持つからこそ、田臥はディフェンスを敗因に挙げた。

それでも田臥はこうした敗戦が自分の血肉になることを深く理解しているからこそ、すっきりした表情でこう締めた。「プライドを持ってやっていかないと、こういう接戦も勝ちきれないなと感じた試合でした。いかに勝ち切るかというところは今日も良いレッスンになったと思います」

優位な状況ではあるものの、栃木のチャンピオンシップ出場は確定しておらず、予断を許さない状況は続く。それでもシーズンを通して学びを力に変えてきた栃木は、最後の9試合を戦う間にもコツコツと小さな成長を重ねていくはずだ。その先にはチャンピオンシップ出場であり、さらにその先には大きな成果が待っている。