文=丸山素行 写真=野口岳彦

クラッチプレーでSR渋谷撃破の立役者に

先週末、サンロッカーズ渋谷に連勝した栃木ブレックスはワイルドカード2位の位置をがっちりとキープしている。

27勝22敗という勝敗よりも、本来のバスケットを実践できている点で、今の栃木には盤石の安定感がある。日曜の第2戦は5点前後の点差を行き来するシーソーゲームとなり、最終クォーター残り6分13秒の場面で3点差まで迫られる苦しい戦いを強いられた。

それでもセドリック・ボーズマンがファウルを誘発し、フリースロー2本を沈めて同点を許さない。オフェンスリバウンドから失点し再び3点差にされるも、ボーズマンの3ポイントシュートで2ポゼッション差とした。試合終盤は追う側に勢いが出るもの。しかし栃木はそこで動揺を見せないし、ピンチのたびにボーズマンが仕事をして相手の流れを断ち切った。

ボーズマンはわずか12分間の出場で11得点と、効率的な活躍を見せた。終盤の大事な場面でのインパクトが大きかったせいか、もっと多くの時間コートに立っていた印象がある。そんな彼は自身のプレーについてこう語る。「個人的にはオフェンス、ディフェンスの両面でアグレッシブにプレーしようと心がけていたよ。接戦になった場面でも、慌てずに落ち着いてプレーできたことが勝利につながったと思う」

チームが立ち直った今、『違いを生み出す武器』に

当然の話だが、実力伯仲のチーム同士の戦いほど、連勝できる確率は下がる。特に第1戦で敗れたチームは、連敗を避けるため序盤からハードにプレーするものだ。「初戦を落としたチームは、2戦目は必ず激しくやってくる。そこでそれを上回ることが一番のチャレンジになる」とボーズマンは語る。

そのマインドが全員に浸透しているのが栃木というチームであり、結果的にSR渋谷を上回る積極性を見せ、第1クォーターで2桁のリードを奪ったことが直接的な勝因になった。ボーズマンは「全体的にエナジーを持って臨むことができた」と試合を振り返る。「お互いのエナジーを自分のエナジーに変えて、その相乗効果で自分たちに流れを引き寄せられた」

シーズン序盤、栃木は3番をこなせるボーズマンの強みをどう生かすか模索していた。ボーズマン自身はコンスタントに2桁得点を記録するも、メンバーが様変わりしたチームは新たな個性である彼を生かし切れず、黒星が先行。それでもチームとしての成熟度が高まる中で勝ち星がついてきたし、ボーズマンもチームルールの中で持ち味を発揮できるようになっていった。

ジェフ・ギブスがケガから復帰したことで、ボーズマンのプレータイムは減少傾向にある。それでも、数少ない3番をこなせる外国籍選手として違いを生み出すことができるボーズマンの存在は、立ち直った栃木において大きな武器となっている。

サクレも認めた『ボイキンと激似』疑惑

一通り聞きたいことが聞けたところで、巷で噂になっている「ルーベン・ボイキンに激似」情報について突っ込んでみた。ボイキンはアースフレンズ東京ZからSR渋谷に加入した選手で身長と体重は201cm104kg。198cm98kgのボーズマンとスタイルも似ている。

「試合中に(ロバード)サクレもそんなこと言ってたよ」とボーズマンは明かしてくれ、笑いながら「彼もサウスカリフォルニア州出身で、似たような地域の出身なので、だから少し似てる部分があるんじゃないかな」と真面目に理由を探してくれた。

スキンヘッドとヒゲが特徴的なボーズマンだが、「見た目を変えないといけないかもしれないね」とイメチェンを示唆し、笑顔で会場を後にした。

栃木は今月28日と29日に、SR渋谷との最後の直接対決を控えている。試合の勝敗とともに、彼らがどれぐらい似ているかもチェックすれば、試合観戦はより楽しくなるだろう。