文・写真=鈴木栄一

鬼門の第2クォーターに3ポイントシュート連発

3月31日、川崎ブレイブサンダースが本拠地のとどろきアリーナでアルバルク東京と対戦。効果的に3ポイントシュートを沈め、前半から堅守のA東京相手に着実に得点を重ねて89-73で快勝し、前日に敗れた雪辱を果たしている。

第1クォーター、川崎は9-9の同点からジョシュ・デービス、ニック・ファジーカスによる連続6得点でリードを奪う。さらに終盤には藤井祐眞の3ポイントシュート、さらにはファジーカスのこのクォーター11得点目のシュートが決まり22-15と先手を奪った。

第2クォーター、川崎にとって苦戦が目立つオン・ザ・コート「1」であるが、篠山竜青、藤井のシュートなどでリードを2桁にまで広げる。この直後、A東京のザック・バランスキー、田中大貴に連続3ポイントシュートを決められ嫌な流れになりかけるが、ここで谷口光貴が3ポイントシュートを入れ返して応戦。さらに、川崎は藤井、篠山、辻直人とガード陣が立て続けに3ポイントシュートを決めて、45-31とリードを広げて試合を折り返した。

第3クォーター、前半の良い流れをキープする川崎はこのクォーターで8得点を挙げた辻の活躍により、残り約6分で16点リードとA東京に付け入る隙を与えず、62-49と2桁のリードを保って最終クォーターへ。A東京も意地を見せ、菊地祥平のバスケット・カウントなどにより開始約1分で点差を8に縮めるも、ここで川崎はターンオーバー奪取からの篠山の速攻と、守備を立て直したことで踏ん張った。さらに残り約6分半には、持ち味である素早いパス回しでノーマークを作ってから長谷川技の3ポイントシュートでリードを再び15点に広げ、あとは余裕を持って逃げ切った。

チーム一丸の姿勢「5人以上のプレーが生まれた」

川崎の北卓也ヘッドコーチは、勝因として何よりもチームとして戦えたことが大きかったと言う。「首位の東京さん相手に、完璧というくらいのゲームをしてくれた。昨日と違ったのはチームでプレーしていることを感じました。そこで5人以上のプレーが生まれたと思います」

そして、「今日は一人ひとりが集中して身体を張ってディフェンスをやることで、良い流れでオフェンスに展開できました。オフェンスもしっかりスクリーンをかけて、ノーマークを作りだしてパスをする。そこでノーマークの選手がシュートを決めてくれたのが良かった」と振り返る。

一方、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「今日の試合は相手がインテンシティ、タフネス、モチベーションのすべてで上回った」と語り、堅守を支える激しいプレーを出せなかったと続けた。「チームとして、フィジカル面で求めている基本的な部分ができていなかった。ボックスアウト、リバウンドがしっかりできていなかった。1対1で守れずにイージーシュートを許してしまう。簡単にファストブレイクポイントを与えてしまいました」

この試合、川崎は22得点を挙げたファジーカスを筆頭に、藤井が15得点、デービスが14得点、篠山と辻が13得点と決めるべき選手が揃って役割をしっかりと遂行。

また、川崎は試合全体で3ポイントを計18本中10本と50%以上の高確率で成功。特に得点力の低下が見えるオン「1」の第2、第3クォーターにおいて計11本中7本と驚異的な成功率だったのが光った。一方で、A東京は同じく3ポイントを18本放ったが6本成功に留まり、長距離砲の精度がそのまま結果につながった一戦となった。

「辻から楽しそうにやりなさいと叱咤を受けました」

ファウルトラブルもあって約14分半の出場で4得点と沈黙した前日から見事なカムバックを見せた篠山は、辻のアドバイスによるメンタルの変化を要因に挙げる。「試合前、辻からもうちょっと楽しそうにやりなさいと叱咤を受けました。そこはキャプテンとしてもっと前を向いてやらなければとあらためて思いましたし、僕が変わればチームも変わると思います」

8日間で栃木ブレックスと2試合、千葉ジェッツと1試合、A東京と2試合というタフな日程を2勝3敗と負け越しで終えたものの、川崎は最後に内容をしっかり伴った勝ちで終えることができた。「水曜日(千葉ジェッツ戦)と金曜日の負けは個人的にはずっしりきました。このタフな日程と相手を見ると、チャンピオンシップよりもキツいんじゃないかという8日間で、終わり方はすごく大事と思っていたので正直、ホッとしていたところはあります」と篠山は総括する。

今日の勝利で東地区首位戦線にも踏みとどまった川崎は次週、アウェーで琉球ゴールデンキングスと対戦。熱狂的な声援で、リーグ屈指のホームコートアドバンテージを誇る沖縄との戦いで、今日つかんだ手応えをより確固たるものとできるのか。正念場は続いていく。