文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

三河の個人技に苦しみながら耐える展開に

サンロッカーズ渋谷vsシーホース三河のゲーム2。後半に突き放されたSR渋谷は終盤に怒涛の追い上げを見せるも、最大18点のビハインドをまくるには至らず、77-81で敗れた。

立ち上がりから三河のハーフコートバスケットを止められず先行を許し、ロバート・サクレの奮闘で一度は追い付くも桜木ジェイアールや比江島慎のミスマッチからのポストプレーを止められない。第2クォーターも最初の2分で軽率なターンオーバーから連続失点を喫し、15-27と2桁のビハインドを背負った。

ここで取ったタイムアウト直後のオフェンスで伊藤駿との連携からベンドラメ礼生が3点プレーとなるバスケット・カウントで反撃開始。ベンドラメはサイドラインからのスローインをカットし、ワンマン速攻で加点してチームに勢いをもたらした。

互いにオン・ザ・コート「2」の時間帯で、SR渋谷が信条とする堅守が徐々に効果を発揮する。桜木や比江島の個人技をすべて止めることはできなくても単発に抑えて耐える。その間に第1クォーターでは5本中0本と不発だった3ポイントシュートを伊藤とジョシュ・ハレルソンが決めて追い上げた。

最終盤、1ポゼッション差に迫る反撃も届かず

三河の3点リードで迎えた後半、SR渋谷は徹底したシュートチェックやダブルチームで失点を防ぐ。三河も要所を締め得点を与えず、守り合いの展開が続く。それでも残り3分36秒、オフェンスリバウンドを奪われ比江島に3ポイントシュートを許すと集中が切れてしまい、三河のデザインされたオフェンスを止められずに次々と失点を重ねる。

52-65で迎えた最終クォーターも流れは変えられず、残り6分34秒に橋本の3ポイントシュートで55-73。試合巧者の三河を前に波乱はないかと思われたが、SR渋谷はここから驚異の粘りを見せる。この試合一番のディフェンスの強度でトラップを仕掛け、ターンオーバーを次々と誘発し得点につなげていく。

三河の鈴木貴美一ヘッドコーチが「最後、ギャンブルされてまんまとハマって、ミスからの得点を与えてしまいました」と振り返るこの時間帯、ホームのファンの後押しを受けたSR渋谷は、このクォーターだけで8つのオフェンスリバウンドを奪い、6つのターンオーバーを誘発。そして残り19秒、ハレルソンのミドルシュートが決まり77-80と1ポゼッション差まで猛追した。

だが反撃もここまで。ファウルゲームに持ち込むも橋本にフリースローを1本沈められ万事休す。最後は広瀬健太が放った3ポイントシュートが外れ、77-81で敗れた。

「最後で全部取り戻そうというのは難しい」

勝利した三河の鈴木貴美一は終盤の展開に苦言を呈しつつも「でもゲームはいろんなケースがある中でしっかり最後は勝ち切れるということが大事。良い経験になりました」と総括した。猛反撃を浴びながらも桜木をコートに戻さず、途中加入のコートニー・シムズを使い続けた理由を「こういうクロスゲームも彼に経験させて、慣れてもらわないといけない」と説明した。

敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、試合をこう振り返る。「小さなミスをすべて減らさないといけない。勝負どころで大事なシュートを決める、この差だと思う。最後に追い上げを見せたのはポジティブなことなんですが、最後で全部取り戻そうというのは難しい」

それでも「絶対に間違った方向には行っていないと思うので、引き続きディフェンスを軸にして、ステップアップして連敗脱出して、流れを持っていきたいと思います」と前を向いた。

SR渋谷は各地区首位チームや強豪との対戦が続き、今日の敗戦で8連敗。チャンピオンシップ出場へ黄色信号が灯っている。それでもディフェンスマインドを取り戻しつつあり、劣勢を挽回する粘り強さを見せるなど復調の兆しは見えている。一つの勝利でチームが好転する可能性は十分あり、どんな形であれ勝利の2文字が求められる。