ステフィン・カリー

「ステフのように優秀を超越した選手もいる」

ウォリアーズのステフィン・カリーはキャリアを通して数々の無謀とも言える3ポイントシュートを決めてきた。特に有名な「シグネチャーショット」は2015-16シーズンのサンダー戦のブザービーターだろう。ただ、このショットはカリーがNBAチャンピオンとMVPを経験した後で、すでにスーパースターとして知られていたためそれほどの驚きはなかった。

ウォリアーズのゼネラルマネジャー、ボブ・マイヤーズは先日、ラジオ番組『95.7 The Game』に出演し、カリーが特別な選手だと気付かされたショットを回想した。そのショットとは2013年のプレーオフセカンドラウンド、スパーズ戦で決めた『片足』での3ポイントシュートだ。

「ステフはスクリーンから一本足で3ポイントシュートを打った。隣りにいたアシスタントゼネラルマネジャーを見ながら『今、片足で打たなかったか?』と話しかけた。シュートには違和感が全くなかった。そして『彼は特別だ』って言ったんだ」

「あのシュートは普通じゃなかった。カリーの打ち方がね。あのシュートを見る前からステフは優秀な選手になると思っていたが、優秀な選手と超越した選手は別物だ。NBAには優れた選手がたくさんいるが、ステフのように優秀を超越した選手もいる」

マイヤーズはカリーがその3ポイントシュートを成功させたかは覚えていないが(実際は成功)、1番驚いたのはそのようなシュートを打てる度胸と自分のスキルに対する絶対の自信をカリーが持っていたことだ。ウォリアーズは当時、スパーズに対してロードで30連敗中だった。この試合はプレーオフの第2戦だったが第1戦でウォリアーズは16点差を4分間でひっくり返され逆転負けを喫していた。ロードで負けが許されない試合でカリーはショットクロックが15秒も残っていながら、まるでゴミ箱にゴミを投げ入れるように片足で3ポイントシュートを放った。

当時のカリーは若く、初のプレーオフで怖いもの知らずだったのかもしれないが、マイヤーズはカリーのシュートを見て無謀とは思わなかった。打ち急ぎのシュートではなくカリーにとっては普通のシュートだったのだ。カリーが史上最高のガードの1人へと成長できたのは、どんなシュートでも迷いなく打てる自信と成功させられるスキルを持ち、従来のショットセレクションの概念にとらわれていないからだ。そのすべてが集約されていたのがマイヤーズが言及した片足での3ポイントシュートだった。