文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

試合開始2分で0-10、逆境からのスタート

4連勝でチャンピオンシップ出場への扉を開きつつある三遠ネオフェニックス。ただ直近2節の相手は島根スサノオマジックと横浜ビー・コルセアーズと残留争いを演じる格下で、今節の琉球ゴールデンキングスを相手にどれだけの戦いができるか、今後に向け重要な一戦となった。

ところが、大事な立ち上がりで琉球に圧倒される。琉球は1on1で果敢に仕掛けて強引に放つシュートをねじ込み、外しても全員がリバウンドに参加。対する三遠はロバート・ドジャーにボールを集めるもシュートが入らず。石崎巧がコートで滑ってボールを失いファストブレイクのチャンスが転がり込むも川嶋勇人がレイアップを落としてしまい、逆襲で田代直希の3ポイントシュートを決められ、開始2分強で0-10とビハインドを背負った。

ただ、ここから三遠は本来の持ち味であるディフェンス力を発揮することにフォーカスして立ち直る。リーグ最少失点を誇る琉球相手に無理に追い上げようとせず、しぶとく守ってイージーシュートを打たせず、少しずつ点差を縮めていく。

堅守自慢の両チーム、川嶋勇人が綻びを突く

ようやく三遠に流れが来たのは第3クォーター残り5分から。39-50でタイムアウトを取った後、ドジャーが難しいジャンプショットを沈めてビハインドを1桁とすると、田渡修人がスティールからの速攻を決め、ここで波に乗り10-0のランで49-50と1点差に詰め寄る。ここで良かったのは、琉球がタイムアウトで立て直し、ランが途切れた後に、慌てることなくディフェンスへと意識を戻したこと。得てしてビッグランの後は反動が出るものだが、三遠は地に足が着いたままだった。

51-52と1点ビハインドで迎えた最終クォーターも、両者とも守備が強調されて得点が伸びない展開に。試合開始からずっとビハインドを背負う展開ながらチーム一丸での戦いを続ける三遠の中心は川嶋勇人だった。決して慌てることなくチームをコントロールし、琉球の堅守の綻びを探しては突いていく。

ヒルトン・アームストロングがスコット・モリソンに引っ張られゴール下を空けた瞬間を見逃さずにアタックし、石崎のファウルを誘いつつバスケット・カウントの3点プレーを決めた。またモリソンとのピック&ロールで、スイッチしたアームストロングが前に出れない隙を逃さずジャンプシュートを沈める。これで60-58、三遠がこの試合で初めてリードを奪う。続いては川嶋が自らアタック。今度はアームストロングが反応すると、すぐさま空いたモリソンにパスを出してダンクをアシスト。

残り16秒から緊迫の攻防、モリソンのダンクで決着

64-63でリードした残り16秒、三遠はショットクロックぎりぎりで攻め込んだモリソンがファウルでフリースロー2本をもぎ取るビッグプレーを見せるが、2本目を外してしまい、そのリバウンド争いで岡田慎吾がアイラ・ブラウンを押してしまう痛恨のミス。チームファウルは5に達しており、アイラに2本のフリースローが与えられる。勝敗に直結する場面でのフリースロー。どうしても先日の日本代表でのことを思い出してしまうシチュエーションでアイラは1本目を外すも2本目を決めて、64-64の同点とする。

残り16秒でタイムアウトを取った三遠。最後の攻めはドジャーがモリソンを使うピック&ロールだったが攻めきれず。戻されたボールを受け取った田渡修人は、琉球の守備陣形が乱れていると判断してのアタックで、アイラを引き付けてモリソンへとボールを託す。フリーのモリソンは難なくシュートを沈めた。残り1秒で石崎が決まれば逆転のハーフコートショットを狙うも、惜しくもリングの手前を叩いて外れ試合終了。66-64とロースコアながら見応え抜群の試合を三遠が制した。

0-10からのスタートとなり、長らくビハインドの時間帯が続き、終盤になってようやく逆転に成功したものの最大リードは2点。全く気を抜くことのできない試合となったが、残り3分52秒に追い付いた後は再逆転を許さず、きっちりと勝ち切った。

こうなれば欲を出して連勝が欲しいところ。強豪相手の連勝はチームの勢いをさらに増してくれるし、さらに少々気は早いがチャンピオンシップ1回戦で当たる可能性が決して低くない琉球に精神的に優位に立つのも大事だ。もちろん、同一カード連敗はシーズン序盤の島根戦でしか喫していない琉球もこのまま引き下がりはしないだろう。今日の第2戦にも注目だ。