専修大出身の盛實海翔は特別指定選手として2年連続でサンロッカーズ渋谷に加わった。1年目からローテーション入りし、今シーズンも平均15.2分間のプレータイムで5.5得点、1.8アシストを挙げ、飛躍を遂げたチームに欠かせない存在となった。すでに結果を出しプロの風格が漂っているが、プロ契約を結ぶのは今回が初。十分な準備をしてプロキャリアをスタートさせた盛實に話を聞いた。
「英語の勉強はしておけば良かった」
──東京アラートが解除され、徐々に以前の日常に戻りつつあるかと思います。
そうですね、体育館が使えるようになって、時間を区切ってシューティングやウェイトを少人数でやっています。それまでは家できることをやっていたので、久しぶりにバスケができて楽しいです。
──結果的に長めのオフとなりましたが、それまではどのように過ごしていましたか?
何か新しいことを始めたわけでもなく、家で映画を見たりゲームをやったりしていました。大学3年の時も特別指定で活動させてもらって、4年もインカレが終わってすぐに活動させてもらったので、長いオフが本当に久しぶりでした。こんなにバスケットから離れたのは初めてで変な感じでしたが、身体も気持ちも休めました。
──ここまで長期間のオフは当分やってこないかと思います。そういう意味でやっておけば良かったことはありますか?
真面目な話だと、英語の勉強はしておけば良かったなって思ったりはします。チームメートに外国籍選手がいるのが当たり前の環境なので、英語がしゃべれたらより深くコミュニケーションが取れると思って。
──将来的に海外挑戦することを見据えているのかと思いました。
行けたらいいですけど、そこまでは考えてないです。しゃべれれば、シンプルにかっこいいなって(笑)。
──新シーズンもSR渋谷でプレーすることになりました。プレータイムを求めて移籍する選手も多いですが、初めからSR渋谷に残ると決めていたのですか?
今シーズンに特別指定の契約をした時点で渋谷でやる方向でいました。早い段階で試合で使ってもらっていましたし、成長に繋がるチームだと思ったので、悩むことはなかったです。試合に出ることはもちろん大事ですが、自分的にやりやすかったというのもありますし、自分の成長に繋がる部分が大きいと思ったのでこのチームでやろうと思いました。
「だましだましやっていた」ディフェンスの向上を
──具体的に成長できる部分はどういったところでしょうか?
まずはディフェンスですね。SR渋谷はチームとして激しいディフェンスを軸としていて、自分はディフェンスが得意じゃないので。大学の時は長い時間試合に出ることが多かったので、そのバランスを考えつつだましだましやっていた感じです(笑)。
脚力とか、シンプルに相手についていく力が低いと思っています。プロではスピードとか体格のレべルが上がってついていけないことも多いです。読みとか、機転を利かして考えることはできても、関野(剛平)さんみたいに激しくついていくディフェンスができないので、そういうところを真似したいです。
──SR渋谷は主力のほとんどの選手が契約継続となり、新シーズンも期待できそうです。それでもセバスチャン・サイズ選手、杉浦佑成選手、ファイ・サンバ選手が抜けた穴は大きく、最年少の盛實選手の成長がカギになってくるかと思います。
自分でもそうでありたいですし、周りからそう思われる選手になりたいです。他の選手はプロで何年かやってきてスタイルも確立されています。自分はプロとして初めてのシーズンという立場で、周りもどんなプレーをするか分かっていない部分もあると思うので、それも利用してチームに貢献できればと思っています。
──2年連続でローテーション入りしているので、プロと勘違いする人もいるかと思いますが、特別指定だったんですよね……。
大学を卒業したばかりです(笑)。
──じゃあ伸びしろしかないですね。ディフェンスもそうですが、あとはどこを伸ばしたいですか?
一つ確実に言えるのはフィジカルですね。大学でもやっていましたが、身体はプロで通用しない部分を感じました。オフは身体作りに力を入れているので進化したいです。
「自分らしさを忘れないプレーヤーに」
──『和製ハーデン』と言われたり『セクシー』の愛称がつくなど、Bリーグでも有数の『魅せるプレーヤー』だと思います。
そう言われるのはありがたいことですし、うれしいですけど、自分ではそこまでこだわっていないんですよね。見てる人が楽しんでもらえるようなプレーは心がけていますけど、必要以上に意識はしてないです。
──ステップバックシュートを打ったり、ノールックパスを得意とする選手は少なからずいます。本人に聞くのもおかしいかもしれませんが、盛實選手だけ『セクシー』なのはなぜでしょう?
えー? 何でですかね。なんでだろう、ちょと分かんないですね(笑)。でも、バスケットを楽しんでいると表現したいとは考えています。楽しまないと意味がないと思っていて、いつでも楽しむことを忘れないでやっているからですかね。
──なるほど。真剣勝負の中で楽しむことは難しいことですが、それを体現している結果ということですね。
自分がマックスでプレーを楽しめたら、多分15アシストくらいはできます……やっぱり、今のはナシで(笑)。
──ガッツリ使わせてもらいます(笑)。逆にリーグでエンターテイナーだなと思う選手はいますか?
身近だとベンドラメ(礼生)さんとか、スター性があるというかかっこいいなと思いますね。シンプルにバスケットが上手ですし、堂々としているというか芯があるというか。
──こうなりたいというような、理想の選手はいますか?
あえてこの選手のようにというのは置かないようにしてるんです。もちろんプレーを見て参考にする選手はいますが、自分らしさを忘れないプレーヤーになりたいです。誰が見てもこの人は楽しそうだなって思われるように。そういう風に応援されるプレーヤーになりたいです。
──では、あらためてプロとして迎える初めてのシーズンの意気込みをお願いします。
チームの優勝に貢献し、1年目だからといって縮こまらず盛實らしいプレーをしたいです。フレッシュさを出して、今まで以上に生き生きとしたプレーを見せれるように、会場で楽しんでいる自分の姿を見てもらいたいと思います。
──最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。
いつも試合に来てくれる人や、それこそ『盛實』って書いてあるボードを作ってくれる人もいて本当にありがたいです。無観客試合も体験し、あらためてファンの存在が力になると感じました。盛實ボードをたくさん作ってくれたらうれしいです!
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