文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

相手に苦手意識を植え付けるほどのインパクト

西宮ストークスは昨日の川崎ブレイブサンダース戦で89-96と惜敗した。それでも前節のレバンガ北海道戦では2試合とも30点前後の点差で敗れたことを考えれば、見事なジャンプアップである。連敗中であることに変わりはないが、直近ではベストゲームと言える内容となった。

キャメロン・リドリーとハーバート・ヒルが奮闘し、インサイドでの得点が伸びたことが大きな収穫だったが、それ以上にシーズンハイの25得点を挙げた岡田優の働きが、好ゲームを演じた原動力となった。

9点ビハインドで迎えた第2クォーターでは、5本すべてのシュートを成功させ14得点を挙げ、一時はリードを奪った。指揮官の髙橋哲也も「崩れなかったのは岡田のスコアのおかげ」と、そのパフォーマンスを称えた。

川崎の北卓也ヘッドコーチも「昨シーズン富山に負けた時も岡田選手にたくさん入れられた。イージーにやらせてしまった」と話し、篠山竜青も「岡田さんにはかなりやられている印象」と口を揃えた。昨シーズン、岡田が所属していた富山グラウジーズは川崎に1勝7敗と大きく負け越している。だがその1勝を挙げた試合で岡田は、城宝匡史とドリュー・ヴァイニーという2人のスコアラーが不在の中、24得点を挙げてアップセットを演出した。その時のインパクトが脳裏に焼き付いているのだろう。

それでも当の岡田は「何とか入った感じが多かった」と『川崎キラー』を否定した。「どういうプレーをしたらいいのかという迷いが、こっちに来て初めて出たのでおかしくなった」と2試合続けて2得点に終わった前節のプレーを振り返り、「今日は切り替えてやろうと思っていた。思い切ってシュートに行くことを意識した」ことがハイパフォーマンスにつながったと分析した。

ディフェンスが得点につながる好循環に

岡田は得点面での貢献もさることながら、ディフェンスでの貢献も目立った。フィジカルなディフェンスで自由を与えず、機能したチームディフェンスも相まって、4スティールを記録した。チームは結果的に96点と大量失点を喫したが、それでもターンオーバーから21点を奪い、ディフェンスから得点につなげたことが89得点という数字につながった。

「自分たちは点が取れないのでやっぱり守らないと、とコーチも言っています。プレッシャーをかけて悪いシュートを打たせるのを心掛けてやっているので、それが今日は少し出たかな」と岡田は言う。

その結果、ディフェンスから速い展開に持ち込めたことで、川崎を上回る15点を速攻から挙げた。「道原(紀晃)や梁川(禎浩)の判断を見て合わせますが、シュートを気持ち良く打てたし、ペースも良かったと思います」

勝負に集中できなかった自分自身の課題を悔やむ

もともとクールな性格もあり、自身が活躍したとしてもチームが敗れたとあって岡田の表情は固かった。連敗中でもあり、素直に喜ぶ気持ちになれないのは理解できるが、理由はそれだけではない。スタッツを見れば岡田の貢献度は一目瞭然だが、それに反映されないところでは審判と戦ってしまい、集中力が途切れたシーンもあった。

「今は冷静になり、すごく反省してます」と岡田は自責の念を語った。「北海道の時もそういうのでコーチに言われました。得点を取ったとは思うんですけど、内容的にああいうこともあって、バタバタして全然トータルで良くないんじゃないかって自分でも反省してます」

ジャッジに不服があることで戦う意識を審判に向けてしまうのはよく聞く話だ。それでも連敗を止める可能性があっただけに、なおさらもったいないミスだった。「ファウルが鳴らないのであれば、シュートを決めきれば問題はないです。鳴らないなら鳴らない時に次に対応しなきゃいけない」と語り、「カッコ悪いところが出てしまった」と締めた。

西宮が浮上するためには岡田の得点力は必要不可欠となる。メンタル面を克服し、『カッコ良い』岡田の姿が見れれば、アップセットは実現するだろう。

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