超絶プレーに触発され、また次の妙技が飛び出す好循環
23年ぶりの優勝に向け、ウォリアーズとの熾烈な西カンファレンス首位争いを繰り広げているロケッツは、3月3日にホームでセルティックスとの接戦を制し、球団史上2位に並ぶ15連勝をマークした。
2007-08シーズンに達成した22連勝に到達しそうな勢いを維持しているのだが、今回の連勝中には、今シーズン最も印象に残るであろうプレーの一つも生まれた。それは、2月28日にステイプルズ・センターで行なわれたクリッパーズ戦の第1クォーター1分18秒、ジェームズ・ハーデンがウェスリー・ジョンソンを1対1で吹き飛ばし、余裕を持って3ポイントシュートを成功させたシーンだ。
ハーデンのクロスオーバーと推進力に圧倒されたジョンソンは、バランスを崩して尻もちをつかされた。ハーデンは、ジョンソンの状態を確認するや、数秒の間を取り3ポイントシュートをリリース。一見すると相手への敬意を欠く行為とも受け取れるが、これだけ圧倒的な能力を見せ付けるとなると、ファンだけではなくNBA選手も驚嘆するしかなかった。
キャバリアーズのレブロン・ジェームズもハーデンのプレーを「誰もがあこがれるプレーだ」と称賛した。「完璧なプレーだった。あのプレーの時点で、たしかロケッツは28-7で圧倒していた。観客もチームも沸いた。きっと、彼のキャリアにとっても記憶に残るハイライトになるね」
このプレーに触発されたからか、レブロンはハーデンを称えた3月1日に行なわれたセブンティシクサーズ戦で、何度も見直してしまう超絶プレーを披露している。ジョエル・エンビードとロバート・コビントンにダブルチームを仕掛けられたレブロンは、エンビードを回避しながらビハインド・ザ・バックを選択。ボールは、コビントンをスクリーンで遮ったトリスタン・トンプソンの股の間を通り、前進しながらそれをつかんだレブロンはダリオ・サリッチとベン・シモンズ越しに左手だけでレイアップをねじ込んだ。
レブロンはこのプレーについて、ハーフタイムにリプレーを見るまで詳細を気にしていなかったようで、試合後「リーグの関係者が映像を見せてくれて、『そうなんだ。OK』という感じだったね」とコメント。「自分のキャリアの中でもベストプレーの一つかな」と、続けた。
リーグの顔としてハーデンを称賛しつつ、現役最強選手としての血が騒いだのだろう。一連の行動から、『キング』の矜持が感じられた。