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パチューリア本人は「故意ではない」と否定

バスケットボールは、対戦相手に肉体的なダメージを与えて勝敗を決めるコンバットスポーツではない。

2月24日、オラクル・アリーナで行われたサンダー戦で、ウォリアーズのザザ・パチューリアが見せた『行為』への批判が続いている。第3クォーター終盤、レイアップを外したサンダーのラッセル・ウェストブルックがバランスを崩してコートに倒れると、その場にいたパチューリアも倒れ、全体重をウェストブルックの左ひざに乗せているように見えた場面のことだ。

122kgのパチューリアに左ひざに乗られたウェストブルックは、痛みに顔を歪めた。幸いケガにはつながらなかったものの、不自然にしか見えなかったパチューリアの『行為』は批判されて当然だ。当事者のウェストブルックは怒りが収まらず、試合後パチューリアを強く非難し「ケガをさせようとしていた」と、コメント。ファンのみならず、セルティックスのカイリー・アービングもパチューリアの行動を責めた。

パチューリアがこれだけ批判されるのも、今回が初めてではないからだ。直近では、昨年のプレーオフでも3ポイントシュートを放ったスパーズのカワイ・レナードの着地点にまで足を踏み入れ、結果的にレナードの足首に重傷を負わせている。ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチがパチューリアを糾弾したのは記憶に新しい。

今回、ウェストブルックの反応を聞いたパチューリアは「子供じみている」と反論している。しかし、百歩譲って故意に倒れたわけではなかったとしても、全体重をウェストブルックのひざに掛ける必要はなかった。問題の場面を何度見ても、パチューリアは左上腕部分から肩にかけて完全にウェストブルックのひざ付近に預けている。もし倒れたのがウェストブルックではなく、ステフィン・カリーやケビン・デュラントらチームメートだったら、パチューリアは同じように全体重をかけただろうか。

サンダーとウォリアーズは4月3日にレギュラーシーズン最後の対戦が組まれている。シーズン終盤ということもあり、プレーオフ争いも佳境を迎え、同カードはより盛り上がりを見せるに違いない。また今回の件で遺恨が残り、ヒートアップしたライバルチーム同士の対戦ならば、ファンも激しいバトルを期待し、さらに目が離せないカードになる。だがあくまでも、ファンが楽しみにしているのは『バスケットボールの試合』だ。

白黒ハッキリつけられない問題だからこそ、プロのアスリートとしての姿勢が問われる。もう一度言う。バスケットボールは、コンバットスポーツではない。