先日、白濱僚祐の島根スサノオマジックへの移籍が発表された。白濱はBリーグ開幕初年度から4シーズンを秋田ノーザンハピネッツでプレーし、キャプテンを務めた今シーズンは32試合に出場して、コート内外においてチームを支えていた。秋田では降昇格を経験したが主力としてプレーし、選手としても成長を遂げた白濱に、移籍の経緯や秋田での4年間のことを聞いた。
「島根さんは僕をすごく必要としてくれていると感じました」
──先日、島根への移籍が発表されました。移籍の経緯を教えてください。
プロの世界なのでいろいろとありますが、環境を変えて今までとは違うバスケットを学びたいと思いました。新たな環境で自分がどれぐらい活躍できるのかを知りたかったのもあります。秋田はこれからもっともっと強くなると思っていますし、良い選手も入ってきてどんどん成長していくチームだと思っているので、秋田で続けたい気持ちもありました。それでも、一番熱くオファーしてくれたのが島根でしたし、プロである以上は必要としてくれるところでバスケットをしたいという気持ちがありました。
話を聞いて、僕を必要としてくれていると強く感じることができたのが一番の決め手です。島根はバスケットを見てもディフェンスに力を入れていて、ディフェンスのチームを作る方針を感じます。チームからもそこを求められているので、僕自身も強みを上手く出していきたいです。
──確かに島根はディフェンスレーディングも良く、勝敗は別として失点数は抑えられているイメージがあります。そこに白濱選手が加入することで、どんなプラスアルファを加えられると考えていますか?
秋田ではペップ(ジョゼップ・クラロス・カナルス)前ヘッドコーチの時から、レベルの高い激しいディフェンスを体現してきました。もちろん、島根のチームスタイルに合わせながらですが、秋田で学んだアグレッシブな気持ちや激しさを上手く表現していきたいです。そういうところを生かすことで、僕が入って少しでもチームとしてのインテンシティが上がれば良いなと思っています。
──秋田で培った軸をブラさずに、さらに成長を遂げるということですね。
そうですね。本当に秋田には自分の良さを理解して上手く使っていただいていました。そのおかげで自信をつけることもできましたし、今までやってきたこと、特にディフェンスは間違っていなかったとすごく実感しています。なので、この自信と学んだことはブラさずに島根でも発揮していきたいです。
「島根での大変さというよりも、楽しみな気持ちが強い」
──今の秋田は残留だけでなく、東地区で揉まれながらもさらに上を目指す強いチームになっています。しかし島根は11勝30敗と苦戦していただけに、新シーズンは降格がないとしても移籍を決断するのは勇気が必要だったのではないでしょうか?
秋田での4年間、本当にお世話になったと心から思っているので、秋田を出るだけでもすごく勇気が必要でしたが、家族や自分の将来のことを考えて移籍を決断をしました。勝率を見ても、島根では厳しい戦いになるだろうと思っています。ただ、僕がシーホース三河から秋田に来た時も、最初は勝てなかったし降格も昇格も経験しています。そういうチームをステップアップさせたい気持ちがあります。秋田での4年間があったからこそ、移籍に踏み切ることができました。
僕自身、日本代表のような力のある選手ではないと分かっているので、僕が行くことでチームを強くするぞという感じではありません。秋田で経験してきたように、島根でもチームと一緒に成長していきたいと思っています。秋田ではB1復帰、苦しみながらも残留を勝ち取る経験ができ、苦しいことも多かったけど僕自身はすごく充実していたし楽しかったんです。そういうことを今度は島根で経験できれば、やり甲斐も感じられると思っています。なので、今は島根での大変さよりも楽しみな気持ちが強いですね。
もちろん、優勝争いをするチームでプレーしたいという気持ちもなくはないです。しかし、この歳になってくるとBリーグの中での自分の立ち位置も理解できます。アイシンの時に強いチームの中で揉まれる経験をしたこともありますが、それよりも今はプレータイムをある程度は得られるところでバスケットがしたい、試合に出たいという気持ちが強いです。
──島根でバスケットボール以外に楽しみにしていることはありますか?
島根には同い年の北川(弘)選手や小阪(彰久)選手がいるんですけど、僕は今までのキャリアで同期が下山(貴裕)選手しかいなかったんです。それまではプロになってから一度も同期と一緒にプレーしたことがなかったので、2人も同期がいるのはすごく楽しみですし、プライベートにしてもバスケットにしても同期の存在は大きいです。後は、出雲大社や他にもパワースポットがいっぱいあるみたいなので、そういうパワーをいただきながら頑張りたいです。
「皆さんと一緒に喜怒哀楽できたことが一番うれしかった」
──秋田では主力としてプレーし、昇降格やキャプテンを務めたりといろいろな経験をしたと思いますが、この4年間で一番うれしかったことは何ですか?
B2に降格したことは悲しかったですけど、1年でB1に戻って来られたこと、オールスター出場だったり、うれしかったことは本当にたくさんあります。でも、僕が何よりも一番うれしかったのはバスケットボールの勝ち負けを実感できたことですね。アイシンでは全然プレータイムをもらえなかったので、チームが勝っても素直に喜べなかったんです。でも秋田に来てからは試合に出て、降格や昇格などいろいろな試合を経験しました。試合に出場して少なからずチームの勝ち負けにもかかわって、それをチームメートやファンの皆さんと喜怒哀楽を分かち合えたことが一番うれしかったですね。
逆につらかったのは、県全体でバスケに対して熱く盛り上がってくれていて、すごくハピネッツのことを応援してもらっている中で、自分が不甲斐ないプレーをした時とか、ちょっと調子が悪くてファンの皆さんに良いところを見せられずにガッカリさせてしまった時です。
──白濱選手があこがれている選手や目指している選手像はありますか?
NBA選手のアンドレ・イグダーラです。彼は目立ったことをするわけではないですが、ディフェンスでチームにすごく影響を与えていて、彼が出るとチームが安定するんです。一家に一台みたいな選手、そういう存在になりたいです。
──それでは最後に、秋田ブースターの皆さんへのお礼のメッセージと、島根ブースターの皆さんへのメッセージをお願いします。
秋田ブースターの皆さんにはチームがB2でもB1にいても、どんな時も熱く応援してくださって感謝の気持ちでいっぱいです。僕個人としては喜怒哀楽が激しいタイプで、調子が良ければテンションも高いし、調子が悪いとすごく落ち込んじゃったりしましたが、どんな僕でも受け入れてくれました。励ましてくれたり、一緒に喜んでくれたりして本当に温かい応援をしてくれて感謝しています。特に今シーズンはキャプテンをさせていただきましたが、頼りない僕を支えてくれたのはチームメートやブースターの皆さんでした。伝えたいことがたくさんありすぎるんですが、「お世話になりました」という言葉が一番しっくりくると思います。本当にありがとうございました。
島根ブースターも熱くて、島根県としてもバスケが盛り上がっていると聞くので、すごく楽しみにしています。どこに行っても僕のバスケットスタイルは変わらないので、秋田での経験を生かしてディフェンスでチームに貢献できるように頑張ります。喜怒哀楽が激しい僕を理解していただいて、僕と島根スサノオマジックを温かく応援していただければと思います。
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