文・写真=鈴木栄一

北海道の粘りに苦しみながらもホームで貴重な連勝

2月16日、17日と川崎ブレイブサンダースは本拠地とどろきアリーナでのレバンガ北海道戦に連勝。これにより2勝2敗で並んでいた北海道に勝ち越す形で、レギュラーシーズンでの対戦を終えることができた。

16日の第1戦、川崎は第1クォーターで大きく出遅れると、第2クォーター終盤には最大で21点ビハインドの劣勢に立たされる。しかし、後半にはわずか22失点に抑える堅守を見せ、77-72で大逆転勝利を収めた。

17日の第2戦は前日とは真逆の展開に。川崎は第1クォーターに17連続得点を奪うなど21-9と突き放して主導権を握り、そのままの勢いで第3クォーター残り約1分で18点の大量リードを奪う。第4クォーターに北海道の猛追を受け、残り約4秒には1点差にまで詰められるが、第3クォーターまでの貯金が最後は物を言って82-79と逃げ切り勝ちを収めた。

川崎の司令塔を務める篠山竜青は、この試合で意外にも1月26日の千葉ジェッツ戦以来7試合ぶりとなる3ポイントシュートを成功させ、12得点をマーク。特に前半で8得点を挙げるなど、ロケットスタートを導く働きが光った。

課題は「自分たちのミスで自ら首を絞める」

「これまで北海道とは2勝2敗だったので、なんとしても連勝して勝ち越さないといけない節。昨日は苦しい展開から我慢強く戦って逆転勝利できたことが良かったです。この反省を生かして今日は出だしからいいリズムで試合ができたことには、チームの成長をある程度は感じることができました」

一方で北海道は新外国籍選手のディジョン・トンプソンは登録が間に合わず今節は出場できず、ベストメンバーではなかった。

「北海道は外国籍選手が1人いなかった中で、あれだけタフに戦ってくるのは見習わなければいけない。僕らも、ああいうプレーをもっと出して東地区で順位を上げられるように努力しなければいけないと感じました」

北海道の粘りに敬意を払いつつも、大量リードであと一歩のところまで追い上げられたことには素直に反省点を口にする。「まだまだディフェンスの部分で甘さがあります。シュートで終われなくてターンオーバーを喫したりと、自分たちのミスで自ら首を絞めてしまうプレーが今日もたくさん見られました。もちろん北海道の点差が離れてもタフに戦い続けるメンタルの強さは素晴らしいものがあると思います。それでも東地区で優勝することを目標としているので、もう少し早い段階で反撃をしのいでいかなければいけなかったと思います」

「勝って代表に合流するほうが気分は軽いです」

頂点に立つための課題と言えば、川崎が敗れたここ数試合で顕著になっているのがセカンドユニット登場時におけるオフェンスの停滞だ。ニック・ファジーカス、辻直人に篠山とチームの屋台骨である『スリーキングス』のうち、少なくとも2人がコートに立っている時は、打開力に優れた彼らの仕掛けによってオフェンスもスムーズに回っていく。しかし、彼らが不在の場合、シュートを打つべきタイミングでも慎重になってパスを回してしまう。

そのためタフショットが増えることで結果的にシュートがより入らなくなり、相手のトランジションオフェンスを食らう機会が多くなるイメージが強い。この点について篠山に質問をぶつけると、チームメートへの信頼があることを大前提として、次のように叱咤激励する。

「今の段階でいうと祐眞への負担が少し重いかなというのが率直な感想です。セカンドユニットで点をいかに取るのかはここ数シーズンの課題になっていますけど、しっかりとチームプレーの中で、責任をもってシュートを打ちに行く。みんな起点になる意識でゲームを作っていくことが増えていけば、楽な時間が増えると思います」

これで今月のリーグ戦は終了と、わずかであるがブレイク期間に入る。ただ、篠山は、まだメンバー発表こそないが日本代表の大一番が控えているのはほぼ確実だ。「それは負けていくより、勝って代表に合流するほうが気分は軽いです」と語るように、川崎で得た良い流れを代表でも発揮することを大いに期待したい。