文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「チームで戦うことに僕たちはこだわっている」

島根スサノオマジックの苦戦が続いている。前節は敵地に乗り込んでの横浜ビー・コルセアーズ戦に連敗し、今シーズン最長の10連敗を喫した。

鈴木裕紀ヘッドコーチは第2戦終了後の会見で、80失点を許したディフェンスを敗因に挙げた。キャプテンの佐藤公威も同じ思いだ。「ディフェンスと言ってもいろんなディフェンスがあります。チームでやられてはいけないと決めたルールがある中で、そのルールの部分でやられたところは確かにあったかもしれない」

だが佐藤はどこか歯切れが悪そうに話をしていた。それは次の言葉が理由だった。「ルールを守ったけど、個でやられてしまった部分もあります。ぶっちゃけ、どういうディフェンスをしてもやられてしまっている状態です。ただチームなので、コーチの指示の下でルールができて、そのルールを守らないといけないのが優先順位だと思う」

確かに横浜との第2戦では外国籍選手の個の力に屈した一面もあった。昇格組の島根にとって、B1の外国籍選手のレベルの高さに苦戦するのは仕方のない部分でもある。だが、テコ入れのために獲得したタイラー・ストーンも、昨シーズンの千葉ジェッツでの活躍の再現はならず、わずか15試合で契約解除となった。強烈な個はチームに組み込むのが難しい。どちらかを優先するのであれば、それはやはりチームになる。

「チームで戦うということに僕たちはこだわっている。そこにフォーカスしてるので、そういう結果になったと思います」と佐藤も認める。「ただ、どこまでがセルフィッシュなのかは難しいところです。もちろん外国籍選手もこのチームを勝たせたいと思って来てくれているので、今まで在籍してきた外国籍選手に対してはリスペクトを払いたいです」

良い時と悪い時の明確な差

中地区最下位と苦しむ横浜にも13点差、12点差で連敗を喫した島根だが、手も足も出ない完敗というわけではない。島根のバスケットを展開できた時間帯は互角以上の攻防を演じてもいる。「ボールが回って良い形で得点できたり、もちろん良い時の状態は見えてはいるんですけど、それが40分間遂行できていないのが今の得点力につながっていると思います」と佐藤も言う。

彼の目から見て、チームのスタイルは明確だ。ただ、それは佐藤が経験抱負なベテランだから理解できるだけかもしれない。彼だけが理解するのではなく、チームとして共通認識を持ち、そのレベルを上げることが求められる。

前節の横浜戦、第2戦の後半は島根がスコアでも内容でも上回っていた。この時間帯について佐藤はこう解説する。「後半良かったのはボールの展開が速かったからです。ボールが止まってしまうと相手も待ち構えやすいので。チームの流れとして展開が早くなるようなバスケが今の僕らの目標なので、ここに一人ひとりの選手が気づかないといけないと感じます」

ディフェンスでやられたダメージをオフェンスに引き継いでしまう。若い選手もいるし、全体的に落ち着けないところもある」と、佐藤には課題が見えている。これをどう解消していくか。

「チームが勝っていれば評価されてもいい」

どんな競技でもスポーツは経験がモノを言う。若手が多く、ほとんどの選手が加入1年目の島根において、佐藤はチームに足りない経験を補うのが自分の役目だと自負している。だからこそ、結果が出ないことに「それを補うのが僕の役目だと思うし、僕のキャプテンシーの足りなさが今の結果につながってるのかもしれない」と自分を責める。

仲間を鼓舞する姿や試合への集中力、ここぞという場面での得点など、試合を見る限り佐藤に落ち度があるようには感じられない。だがプロである以上、結果が求められることを理解している佐藤は、その責任を一身に背負う覚悟を見せている。

ヘッドコーチやアシスタントコーチは的確な指示をしてくれているので、あとは選手がいかにその指示を遂行できたり、表現できたりというところです。チームが勝っていれば評価されてもいいと思うんですけど、そこで負けてるってことは何かが足りないということで、僕の責任もあるんです」

島根は今節敵地に乗り込み栃木ブレックスと対戦する。黄色く染まるブレックスアリーナでの戦いは、どのチームも嫌がるほどの『アウェー感』が存在する。厳しい戦いになるのは間違いないが、ここで勝利をつかめばブレイクスルーのきっかけになるのは間違いない。

「ここを乗り越えれば絶対良いチームになる」と信じる佐藤。連敗を止め、チームはターニングポイントを迎えることができるだろうか。