ブレイク・グリフィンのトレード劇に見る『トレード拒否条項』の是非を考える

2018/02/03
NBA&海外
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 写真=Getty Images

名誉か特権か、はたまた『足枷』にもなるオプション

クリッパーズのフランチャイズプレーヤーとして8年半在籍したブレイク・グリフィンのキャリアは、ピストンズで第2章を迎えた。この大型トレードが成立した要因の一つに、昨夏にクリッパーズと結んだ5年1億7100万ドル(約187億円)のスーパーマックス契約に『トレード拒否条項』がなかったことが挙げられる。

グリフィンの立場から考えれば、自身の合意なしのトレードを認めない『トレード拒否条項』を契約に盛り込んでおけば、自分の立場を守ることができた。もっとも彼はそのことについて「後悔していない」とピストンズの入団会見で語っている。

実は、グリフィンと同じく昨夏ウォリアーズと5年2億100万ドル(約220億円)のスーパーマックス契約を結んだステフィン・カリーも、その契約にトレード拒否条項を入れていない。カリーがトレードの駒にされる可能性はゼロに近い。だが、クリッパーズが球団の顔だったグリフィンを躊躇なくトレードした事例が生まれた以上、周囲は同様のケースが生え抜きのスター選手に起こるリスクを危惧する。

1月31日のジャズ戦を終えてのメディア対応で、この件について質問されたカリーは、「そういう話は球団としたけれど、最終的にはトレード拒否条項を加えないことで双方が合意した」と答えた。

トレードは、球団がメリットになると判断すれば成立する。球団に利益があると判断されれば、たとえ生え抜き選手であっても放出されてしまう。グリフィンは、球団から連絡を受ける前にTwitterで自身のトレードを知りショックを受けた。だが、そのおかげで球団から求められていない存在だと理解し、入団会見での発言に繋がった。

もう気持ちは切り替わったのだろう。2月1日のデビュー戦でのグリフィンは、24得点10リバウンドの活躍で勝利に貢献した。

仮にグリフィンの契約にトレード拒否条項が含まれていたら、まず選手本人の承諾が必要だった。その時点で選手は放出対象であることを知り、トレードが決まるまで悶々とした気持ちを抱え、トレーニングとプレーだけに集中できなくなってしまう。昨夏のカーメロ・アンソニーはその状況にあった。スター選手にとって名誉であり特権の『トレード拒否条項』も、状況次第で球団と選手にとって足枷でしかなくなる。グリフィンやカリーのように、契約にトレード拒否条項を加えていないスター選手は、そのことを理解しているのではないだろうか。