連続昇格を狙うライジングゼファー福岡、小林大祐が復帰へ「ケガをする前よりも活躍してやるんだという気持ち」

2018/02/05
Bリーグ&国内
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取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

ライジングゼファー福岡はここまで28勝6敗、B3からの昇格1年目ながら順調に勝ち星を伸ばし、最短でのB1昇格に突き進んでいる。だが、そこにエースである小林大祐の姿はない。昨年10月25日の広島ドラゴンフライズとの試合中に左上腕骨を骨折する大ケガを負ったからだ。

あれから3カ月。強い気持ちでリハビリの日々に取り組み、戦線復帰の準備が整いつつある。栃木ブレックスから福岡に移籍した2016年夏、B3からの再出発に際して「2年でB1に昇格する」との言葉を『有言実行』にするために。小林は昇格への最後の一押しになるつもりだ。

「3カ月でここまで来れたのは周りのおかげ」

──練習場でしっかり動けている姿を見ることができて安心しました。まずはケガをした当初の心境を教えてください。

僕がバランスを崩したのもあって、レイアップに行った時にゴールの支柱に激突しました。左腕から突っ込んで、パックリ折れた感じです。肩と肘の間が90度外側に曲がった腕を見た瞬間、パニックになりましたね。ただ不思議なことに、まだフロアにいた時点で「これはどれぐらいかかるんだろう」と復帰のことを考えていたんです。

手術から3週間ぐらいは39度の熱がずっと下がらず、動けるようになって、ようやく「ケガをしたんだ」という実感が持てるようになりました。

ありがたかったのは、たくさんの連絡をいただけたことです。例えば元チームメートで尊敬している田臥勇太選手とか、日立で一緒だった渡邉拓馬さんがすぐに連絡をくれました。いろんな方からの言葉が励みになりました。

──そこからのリハビリは順調に進んだようですが、実際どんな感触ですか?

広島の救急病院で、日常生活に戻るのが3カ月で、バスケは半年以上やれないと言われたんですが、いろんな人を巻き込んだんです。理学療法士さんだったり、チームメートもそうです。身体に良いこと、骨に良いことを聞いては実行して、3カ月でここまで来れたのは周りのおかげですね。自分の中では「治そう」という意識がすごく強くて、シーズン中に復帰するのはもちろん、むしろケガをする前よりも活躍してやるんだという気持ちです。

「僕が戻れば絶対チームのためになる」という自信

──スタンドから見ているチームの戦いぶりをどう評価していますか?

僕がいなくなって19勝6敗、やっぱりホームで初めて広島に負けた時は悔しかったですね。チームメートが負けるのを見るのは悔しいし、自分が何もできないのはキツいです。今の成績には満足していないし、早く戻りたい一心です。僕が戻れば絶対チームのためになるし、良い成績も残せます。勘違いかもしれないですが、そこに絶対的な自信を持っているので。

ケガ人が出て、その試合ごとにスターというかエースが出るようになりました。19勝6敗という結果に満足はしていませんが、皆でカバーするチーム力はすごく上がったと思います。個人の力もありますけど、チーム力ができてきました。ここに青野(文彦)さんが完全復調してくれるだろうし、僕も戻ります。チームはマイナスの状態で戦っているわけで、そこでチーム力が上がっているのはすごく良いことです。

──では、あえて課題を挙げるとしたら?

離せる時に離せないところですね。言い方は悪いですが、20点差をつけなきゃいけない相手に接戦をやったり、結果的には勝っていても気のゆるみを感じることはあります。相手もプロだし、20点差を30点差にするのは難しいのですが、それでも引き離す力がまだ足りないかなと。

──福岡のB1昇格を考えると、成績とともに問われるのがB1ライセンス取得です。勝つだけではダメで、特にここまで平均1500人あまりのホームの集客数は黄信号です。

集客に関しての考え方は変わりつつあります。「試合をするだけがプロの仕事じゃない、試合に何人のお客さんを呼べるかがプロの真の価値だ」とチェアマンがよく言いますが、それって本当に大事なことです。

正直、今まではそう考えたことがなかったですから。僕はあまりコミュニケーションが得意じゃなくて、ファンサービスは苦手だったんです。日立や栃木では『塩対応』って言われていたんで。でも福岡に来て「意識を変えなきゃ」と思うようになりました。目指すのは強く愛されるチームです。福岡の県民性で、ただ強いだけじゃダメなんです。愛されるチームにならないとお客さんは来てくれません。

B1からB3への選択「この道を正解にするために」

──JBLで新人王を取って、日立、栃木と活躍して、Bリーグができるタイミングで3部の福岡に来ました。「地元でやりたい」と戻って来た気持ちに変化はありませんか?

福岡のチームをB1に上げたいという思いは強いです。よく「後悔はないんですか」って聞かれるんですが、後悔がないとは言い切れないですね(笑)。ただ福岡が嫌いなわけじゃなくて、「ここで違う道を選んでいたらどうなっていただろう」と僕はよく自問するので。それは『後悔』ではないのかもしれないですけどね。

どの道を選ぶのが正解だったのかは分かりませんが、ただこの道を正解にするために今必死でやってるので。言ったことは実現したいんですよ。有言実行ってカッコいいじゃないですか。だから僕は福岡に戻って「B3からB1まで最短昇格する」と言ったので、そこはなんとしても達成したい。そのこだわりは強いですね。

今回は僕がケガをしてチームにもメンバーにも迷惑をかけたので、その罪滅ぼしの気持ちもあります。僕がいない間にみんな頑張っていますから。応援してくれるファンの存在もそうです。「福岡をB1に」を合言葉にみんな頑張っていますから、僕は試合で頑張って、福岡をB1に上げることで恩返ししたいです。

──そこには『エースの自覚』もありますか?

自分がエースだと考えたことはありませんが、試合に出続けなければいけないとは思います。

「腕の状態は90%まで戻っています」

──早く戻りたい一心だとは思いますが、今のコンディションはどうですか?

腕の状態は90%まで戻っています。今はしっかり練習できていて、来週からは対人練習も始めます。怖さはないです。次にケガしたら仕方ないという気持ちなので。あとは肩の柔軟性が戻れば、筋力も体力も問題なく復帰できます。

それにこの期間、普段ではやれない細かい技術をしっかりやれました。僕はハンドリングとか細かい技術が苦手で、普段は得意なことを伸ばすべきだという考えです。しかし今回は短所を直す取り組みをして、実際にうまくなったと思います。それに加えて体幹だったり身体の柔らかさを取り入れたり。それはケガをしなかったらやっていなかったと思います。ケガをしたから良かったとは全く思わないですけどね(笑)。

不安なのはゲーム感覚ですが、そこまで心配はしていません。僕はどちらかと言うと人に合わせるのではなく「合わせてくれ」という性格なので、周りが合わせてくれるだろうと(笑)。

──では最後に、試合復帰がいつになるのか、復帰への意気込みを聞かせてください。

アウェーで復帰するよりはホームが良いかなと思います。現実的には3月頭、久留米のみづま総合体育館での仙台89ERS戦でしょうが、それでも個人的には遅い感覚です。個人的にはあと1週間か2週間で試合に出ても絶対に行けると思っています。

大ケガをしても気持ちを強く持てば、それまでよりも活躍できることを見せたいです。活躍できない可能性もありますが、そこは有言実行なので、結果を出します!