すでに多くのドラフト候補選手がGリーグ入りを表明
NBAは大学進学を希望しないエリート選手が、Gリーグでプレーしながらドラフトを目指せる育成プログラム『プロフェッショナル・パス・イニシアチブ』を制定した。しかし、アメリカ大学バスケットボールの名門ケンタッキー大でヘッドコーチを務めるジョン・カリパリは、高校生が大学進学ではなくGリーグを選択することに反対している。
『Coffee with Cal』に出演したカリパリは、Gリーグの育成プログラムは若い選手に誤解を与えると主張した。「Gリーグが大金を払って呼び寄せた子供たちに問題があるのではない。中高生の多くが『Gリーグに行けばNBAに入れる』と勘違いすることが問題なんだ。実際にGリーグの中からNBAでプレーできる選手は、2%しかいないんだから」
選手が最初からGリーグを目指すようになれば、高校時代に大学進学に向けた努力を止めてしまいかねないことから、カリパリは教育的な側面でも育成プログラムには反対しているという。また、ケガなどでGリーグへの挑戦が失敗した場合に、大学で学ぶという選択肢がなくなってしまうことも危惧している。
しかしカリパリは以前から、リーグは高校を卒業したばかりの選手にもNBAドラフトのエントリー権利を与えるべきだと主張していた。実際にケンタッキー大に1年間だけ在籍してからNBA入りした選手は多く、アンソニー・デイビス、カール・アンソニー・タウンズ、デビン・ブッカー、ジョン・ウォールなどが代表例だ。
カリパリは大学教育の長期的な利益を唱えているが、当事者たちはGリーグでのプレーを望んでいる。実際に2021年のドラフト目玉候補のジェイレン・グリーンやミシガン大進学予定だったアイザイア・トッド、UCLAに進学予定だったデイシャン・ニックスなど、多くのドラフト候補選手が進学を蹴ってGリーグ入りを表明している。
若い選手の教育の重要性を強調するカリパリだが、彼の主張はポジショントークとも取れる。ケンタッキー大を含めバスケットボールの名門校はトップレベルの高校生をリクルートするため、Gリーグは大学にとって競合相手となり、才能ある選手を奪われたくないというのが本音だろう。