「週末はしっかり自分たちのバスケットボールをしたいです」
ファイティングイーグルス名古屋は11月6日、アウェーに乗り込んでサンロッカーズ渋谷と対戦。前半だけで49失点とチームの根幹であるディフェンスがうまく機能せず、前半で22点ものビハインドを背負ったことが響き66-80で敗れた。
FE名古屋の内尾聡理は、開幕から安定したプレータイムを得ている数少ない大卒ルーキーの1人だ。この日も7試合連続で先発出場を果たしたが、試合序盤に2つ目のファウルを喫してベンチに下がると、そのまま再びコートに立つことなく、プレータイムは今シーズン最少の4分12秒に留まった。
試合序盤の2ファウルにより、そのまま前半はベンチを温めるパターンは少なからずある。しかし、そのまま試合終了まで出番がやってこないことは稀だ。FE名古屋の川辺泰三ヘッドコーチは「チームとしてディフェンスができていなかったら、得点を取る選手を出していくしかないです。チームの事情で(後半は)出られなかっただけです」と、前半の大量ビハインドによって、得点力を重視した起用を続けざるを得なかったと語る。そして、「彼はすごく良い選手です」と内尾への信頼は変わっていないと強調した。
内尾は「出だしで僕たちが準備していたことがあまり出せなくて、相手のインテンシティや質の高いバスケットボールについていけなかったことが非常に悔しいです。後半はタフに戦えたと思うので、週末はしっかり自分たちのバスケットボールをしたいです」と試合を振り返る。
そして消化不良に終わった自身のプレーをこう分析している。「1個目のファウルはあそこまでやらないと、(ファウルになるのか基準が)わからないところもあったので仕方ないかなと思います。ただ、2個目は僕がチーム戦術と違うことをしてしまってからのミスで、反省しないといけないです」
昨シーズン、内尾は大学4年のシーズンが終わると、特別指定で千葉ジェッツに加入した。入団当初はほぼ出番がなかったが、福岡第一高校時代から定評のあるディフェンスで序列を高め、3月末から先発に定着。チャンピオンシップでも全6試合に先発と、リーグ屈指の強豪で主力の座をつかんだ。
課題はシュートの積極性「そこは気持ちの強さを出さないといけないです」
そしてオフにFE名古屋へと移籍すると、開幕から持ち味のディフェンスを武器に先発の座と、1試合20分近くのプレータイムを獲得している。ルーキーとしては上々のスタートだと周囲は評価するが、本人に満足感は全くない。「千葉の時も最初は出られなかったです。プロでは出場機会は自分で勝ち取るもの。今日はまったく自分をアピールできなくて、もっと表現しないといけないです。まだ、信頼を勝ち取れていない状況です」
「タフにディフェンスをやっていることを評価してもらえていると思いますが、足りないところは多くあります。そこは自分でもよくわかっています。この課題を改善できれば、新しいステージに行って自分が思うようなプレータイムももらえます」
今、内尾が課題として意識しているのは、もっと得点に絡んでいくことだ。「チームメートから『どんどんシュートを打っていけ』と言われています。そこで打てるチャンスで躊躇したり、判断ミスが多いです。確率的にはそんなに悪くないので(3ポイントシュート成功率38.9%)、どんどん強気に打っていきたい。タフなシュートは良くないですけど、チームが作ってくれたシュートを決め切る力、正確な判断をしてパスを出すところは課題だと思います」
このシュートの積極性を出していくためには、メンタル面を変えていくことが必要だ。「自分が打っていい場面なのに、チームのベストショットを打とうと考えると自分ではないかな、と思ってしまうことがあります。そこは気持ちの強さを出さないといけないです」
この試合でも2ファウルをするまで、内尾はSR渋谷の外国籍ポイントガード、アンソニー・クレモンズのマークを任されていた。新人ながら、すでにディフェンス職人としての確固たる評価を得ているが、本人はそこに満足するつもりは毛頭ない。それは、守備だけの選手ではトップリーグで定着できないと強い危機感を抱いているからだ。
「Bリーグで生き残り続けるためにはディフェンスをやることに加え、オフェンスでも脅威にならないといけないです。僕のマークは空けていいと思われるようでは、相手にとっては楽で、守る相手を限定できます。それではBリーグにいることが難しくなります。得点も取れるような3&Dになりたいです。また、もっとクリエイトできる力も必要です。ガード的な要素にもチャレンジしていくことが、より将来に繋がっていくと思います」
本日、FE名古屋はゴール下の要であるショーン・オマラのインジュアリーリスト入りを発表。よりチームで守ることが大切となり、内尾のディフェンス力の重要性は増してくる。そしてFE名古屋が上位戦線に絡んでいくためには、オフェンス面でもインパクトを残したいと向上心を持つ彼が攻守両方で爪痕を残して行くことが必要だ。
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