「プレシーズンで仕掛けたことを、彼は忘れていなかった」
バスケットボール殿堂入りを果たしている元NBAスター選手のゲイリー・ペイトンは、プロ1年目に忘れられない『ルーキーの洗礼』を浴びた。
怖いもの知らずだった当時のペイトンの鼻を折ったのは、『バスケットボールの神様』ことマイケル・ジョーダンだという。1997-98シーズンのブルズを追ったドキュメンタリー作品『The Last Dance』公開に先立ち、ペイトンは『The Athletic』にジョーダンとの秘話を語った。
「1990年のプレシーズンで彼は10分くらいしかプレーしなかったのに、自分が仕掛けたことを忘れていなかった。レギュラーシーズンで初めて対戦した時も、自分は彼を挑発したんだ。そうしたらBJ・アームストロングとスコッティ・ピッペンに『あのルーキーの相手は俺がする。ずっと俺がつく』と彼が言っていた。その後、自分はファウルトラブルですぐにベンチに下がった。試合中に彼から『おい、若いの。プレシーズンは本番じゃない。これが本番だ』と言われたよ。なんというか、NBAに歓迎してもらえた気分だった」
ジョーダンがペイトンにプロの厳しさを教えた試合は、1990年11月17日に行われたもので、ジョーダンは27分の出場でフィールドゴール20本中13本、フリースロー8本中7本成功の33得点を記録した。マッチアップしたペイトンをフィールドゴール1本成功の2得点に抑え、格の違いを見せつけた。
その後ペイトンは、1996年に年間最優秀守備選手賞を受賞し、NBAオールディフェンシブ・ファーストチームに9度選出されたほどディフェンスでもリーグ屈指の選手と評価された。NBAを代表するスター選手になったペイトンの原動力は、ジョーダンに完封された経験だったのかもしれない。