文・写真=鈴木栄一

辻が3ポイントシュート6本を含む23得点と大活躍

12月30日、川崎ブレイブサンダースが敵地の青学記念館に乗り込んでサンロッカーズ渋谷と対戦。試合を通してタフなディフェンスで失点を防ぎ、辻直人とニック・ファジーカスのエース2人が得点に重ねる。NBL時代から続けてきた『勝ちパターン』に持ち込んだ川崎が、75-61で快勝した。川崎は12月1日、2日に連敗したSR渋谷に雪辱、連勝を5に伸ばしている。

第1クォーター、川崎は大黒柱のニック・ファジーカスがいきなりの11得点をあげるなど、高確率でシュートを沈め24-16と先行する。第2クォーターに入っても川崎の流れが続き、本日がチームデビュー戦となった新戦力ルー・アマンドソンや辻直人の得点で残り約6分で33-20とリードを広げる。だが、ここからSR渋谷が、怒涛の反撃。山内盛久の3ポイント、ロバート・サクレのバスケットカウントで流れを引き寄せると、さらに川崎に約6分に渡って得点を許さず。その結果、33-33と一気に追いついて前半を終える。

第3クォーター、SR渋谷は開始早々に菊池真人が3ポイントを沈めついにリードを奪う。だが、ここから川崎は辻がこのクォーターで3ポイント4本中4本成功と大暴れ。辻の活躍に助けられ、35-40の場面でから連続14得点の猛攻でひっくり返すと、終了間際には藤井祐眞も3ポイントを沈め13点のリードを奪う。

第4クォーターに入っても川崎は勢いを継続。残り約6分半には藤井が3ポイントでバスケット・カウントのビッグプレーを沈めて18点差に突き放して勝負ありとなった。

タフなディフェンスを継続する我慢強さも光る

この試合、川崎は辻が23得点、ファジーカスが17得点13リバウンド3スティールと攻守に活躍。また、ターンオーバーを18も喫し、ターンオーバーからの失点が19と多かった中でも、最後までタフなディフェンスが崩れなかった我慢強さが光った。

川崎の北卓也ヘッドコーチは「非常に良いディフェンスだったと思います。前半良い出足はしましたが、ターンオーバーが多く追いつかれました。第3クォーターは辻ですね。彼が連続で3ポイントを決めて流れに乗ったというのがあります」と勝因を語る。

一方、SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは「良くない試合でした。相手の方がディフェンスで明らかに自分たちより激しくプレーしていました。ボールプレッシャーも甘く打たれてはいけないシュートを何本も打たれてしまいました」と振り返る。両指揮官のコメントが示すようにどれだけタフな守備をできたのか、その差がスコアとなって表れた試合となった。

また、北ヘッドコーチは、「3ポイントの確率が良く(22本中10本成功)、そこで主導権を取れた。また、相手の強力なインサイド陣に気持ち良くプレーさせなかった。そして向こうの3ポイントが悪くて(16本中3本成功)ラッキーなところもあったと思います」と語るなど、シュートは水ものとはいえ、3ポイントの精度も明暗を分ける要素だった。

指揮官から辻への愛のムチ「良くない時に我慢できるか」

川崎が3ポイントシュートを高確率で沈めた立役者はもちろん辻。3ポイントシュート10本中6本成功を含む23得点を挙げた辻の存在が大きい。12月になって得点が上昇している辻だけに、北ヘッドコーチに「完全復活では?」と聞くと、次のようなコメントが返ってきた。

「どうなんですかね。今日はいいですけど、ダメな時は全くだめですから。辻に対して執拗なマークをしてくるチームがたくさんある中、メンタルを切らさないで粘り強くシュートを打ち続けることが彼の課題です。今日は集中してやってくれました。やはりエース的な存在ですので良くない時でも我慢してプレーを続ける。ディフェンスを頑張り続けてほしい。まだまだ絶対的なエースになっていない。そこは見守りながらやっていきたいです」

辻を高く評価しているからこその、厳しい愛のムチと取れる評価。指揮官が完全復活と認める状態になった時、川崎はどんなチームへと進化していくのか。新たに合流したアムンドソンの存在も含め、大きな伸びしろを感じさせる一戦となった。