レイカーズ退団から1年後、コービーから届いた小包
今年1月に不慮の事故で急死したコービー・ブライアントは、2020年のバスケットボール殿堂入りを果たした。8月下旬に予定されている式典では、今年の殿堂入りを果たす元選手や指導者が彼との思い出を壇上で語るだろう。
現役時代のコービーは、自分自身、そしてチームメートにも妥協を許さなかった。優勝するため、バスケットボール選手としてより高みに達するためにどうすればいいかを日々考え、猛練習を続けた。
彼のバスケットボール人生を語る上では、そのストイックなまでの姿勢と周囲を巻き込む影響力がよく取り上げられるが、彼はチームメートの努力を認めるリーダーでもあった。2009年から1年間レイカーズに所属した元NBA選手のアダム・モリソンのこともコービーは認めており、当時メディアが彼を批判した際には擁護に回った。
そのモリソンが、コービーとの思い出をポッドキャスト番組『Battle for L.A. Podcast』で語った。
モリソンは「彼はいい加減な人ではなかったし、くだらないこともやらなかった。どうすれば自分の成長に繋がるか、どうすれば自分を追い詰められるか、チームメートをプッシュできるかを常に考えていた。こういうタイプの人間とは、人生の中でもなかなか出会えるものではない」と、当時のコービーについて語った。
モリソンは、レイカーズでは39試合にしか出場しておらず、彼の名前を思い出すのに時間がかかるレイカーズファンも少なくないだろう。だがコービーは、モリソンのバスケに取り組む姿勢を評価し、それは彼が退団した後も変わらなかった。
レイカーズを退団した1年後のある日、モリソンに球団のセキュリティ担当者から住所の問い合わせがあった。特に気にすることもなく住所を伝えると、数日後に荷物が届いた。その中身は、当時イングランドのサッカーチーム、チェルシーで活躍したストライカー、ディディエ・ドログバが試合で着用したユニフォームにサインが入ったものだった。
モリソンは以前、コービーにチェルシーのファンだということ、そしてお気に入りの選手がドログバだということを話したことがあった。それを覚えていたコービーは、チェルシーを表敬訪問した際、ドログバにモリスへのサインを頼んだ。チェルシー公式のInstagramにも、コービーとドログバの2ショットが残っており、11番のユニフォームをよく見てみると、「To Adam」(アダムへ)と書かれているのが分かる。
モリソンは、ドログバのサインが書かれたユニフォームと「幸運を祈っている」というコービーからのメッセージを受け取ったことを明かす。
「彼が亡くなった日、今までの記事やらを見返していた。何気なくチェルシーのInstagramを見ていたら、コービーがスタンフォード・ブリッジを訪問した時の画像があって、ディディエ・ドログバのユニフォームを持っていた。よく見たら、そこに『アダムへ』と書かれていたんだ」
「もちろん今もユニフォームは持っている。僕がコービーにドログバのサインが欲しいと頼んだことはない。彼はNBAでの契約を失い落ち込んでいた僕を気にかけて、ユニフォームを送ってくれて勇気を与えてくれた。彼はとても多くの人に、こういうことをしてきたんだ。彼は自分の持つオーラがどういうものか分かっていて、周囲の人に元気を与えてくれるんだ」
「彼は、公の場で僕を擁護してくれたことがあった。そんなことをする必要なんてなかったのにね。とても感動したよ。彼の近くにいられて、本当にうれしかった」