文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

出遅れたA東京はタイムアウトで早期に立て直す

アルバルク東京vs栃木ブレックスの第2戦。終盤まで拮抗した展開が続くも、ブロックショットで流れを呼び寄せたA東京が、最終クォーターで11得点を挙げた田中大貴の活躍もあり連勝を収めた。

オン・ザ・コート数はともに「1-2-1-2」を選択。昨日からオン・ザ・コート数を変更した栃木が序盤は走る。A東京以上のアグレッシブなディフェンスを披露し、ライアン・ロシターのオフェンスリバウンド、田臥勇太の速攻など、開始4分で10-4と先手を取った。だがA東京はタイムアウトをきっかけに冷静さを取り戻すと、馬場雄大のバスケット・カウントを含む2本連続の速攻で逆転に成功する。

第2クォーターに入っても互いに強度の高いディフェンス合戦が続き、速攻がなかなか出ない重いゲーム展開となる。それでもセドリック・ボーズマンが個の力で打開した栃木が、31-29とわずかにリードして前半を終えた。

後半に入っても拮抗した展開が続くが、14本中9本のフィールドゴールを成功させたA東京が、シュート成功率の差で1歩抜け出した。また残り1分32秒、ファンブルしたボールを取り戻そうとしたアンドリュー・ネイミックが、アンスポーツマンライクファウルをコールされたことも栃木にとっては痛かった。

勝負どころで田中が見せたビッグプレー

51-46とA東京のリードで迎えた最終クォーター。終盤まで集中力が途切れず5点前後の点差で推移するが、勝負どころで田中大貴が勝利を大きく引き寄せるビッグプレーを見せる。残り3分15秒、2点リードの場面、田臥に速攻からレイアップに持ち込まれるも、ここで田中のチェイスダウンブロックが炸裂。直後の攻撃でアレックス・カークがオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを挙げた。

同点に追いつかれるピンチを防ぎ、さらにセカンドチャンスポイントで得点。プラスマイナス4点分のプレーによりA東京が勢いに乗る。焦る栃木はオフェンスでボーズマンとロシターが連続でターンオーバーを犯す手痛いミス。馬場が2本のフリースローを決め、田中が3ポイントシュートを沈め、大事なターンオーバーからの得点を重ねた。

残り1分43秒、田中がドライブからファウルを誘い、フリースローを2投成功させて69-59。終盤でこの日の最大リードを奪ったところで勝負あり。最終スコア75-67でA東京が勝利した。

「強く、激しい、安定したディフェンスができた」

ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「強い栃木に2連勝し選手たちはよくやってくれた。昨日もそうですが、勝因となったのはディフェンスです」とコメント。

序盤にリードを許しタイムアウトを要求した場面では、冷静になれとアドバイスを送ったという。「栃木の最初の5分は本当にアグレッシブで、チャンピオンシップと同じような激しいディフェンスで来ました。そこで連続得点を許したので、相手の積極性に負けずに立ち向かい、逃げ腰にならず冷静にいけと言いました」

そのタイムアウトで冷静さを取り戻し、逆転につなげたことは序盤の大きなポイントとなった。出だしの戦い方を反省点に挙げるも勝ち切り、ルカコーチは満足感を得ていた。「その他の時間帯は我々らしく強く、激しい、安定したディフェンスができたと思います。それが昨日今日2連勝できた要因です」

終盤に躍動した田中は「どれだけアタックできるかを課題として臨みました。うまくアタックできなくてもファウルをもらったりして点数を稼げたので、昨日よりは良かったです」と最終クォーターに11得点を挙げたパフォーマンスを振り返った。

「A東京さんの強さをまざまざと感じました」

一方、連敗を喫した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「基本に立ち返って、ディフェンスの激しさを40分間最初から最後までチャレンジャーとして出そうと話しました。選手は本当にそれを出し続けてくれたと思います。僕の戦術の差かなと思いました」と敗戦の責任を背負った。

終盤に離され、「A東京さんの強さというのをまざまざと感じました」と素直に認めた安齋コーチ。それでも「今の段階では力の差があるかもしれないけど、ウチもやるべきことを続けていけば、最後まで戦えるようなチームにしていけると感じました」と、東地区首位を相手に引けを取らないパフォーマンスを見せれたことは自信になったようだ。

栃木は前日の課題を修正し、最後までハードにプレーした。だがA東京はそれ以上のハードワークで上回った。安齋コーチが言うように、A東京の強さは『本物』だ。