日本代表

フリオ・ラマス「どの選手に対してもドアは開いている」

ライアン・ロシターとギャビン・エドワーズの日本国籍取得が認められたことで、帰化選手の1枠を巡る争いは激化した。また今月の代表合宿に久々の招集となった金丸晃輔がチャイニーズタイペイ戦のメンバー12名に残り、17得点を挙げてアピールに成功したことも、日本代表のレベルアップに大きく寄与しそうだ。

とはいえ、今回のチャイニーズタイペイは世界レベルの相手とは言えず、快勝にも慢心せずチーム強化を続けることが必要になる。ヘッドコーチのフリオ・ラマスは、Bリーグでの選手たちへ切磋琢磨を求めてこう語っている。

「オリンピックに向けて我々がどういう目標を掲げているのか、明確に認識してほしい。オリンピックでは12チームしか出場せず、世界トップ10のチームばかりが参加する。その舞台で競争するには、まず選手たちのアスリート能力を高めなくてはいけない。直前になってできるものではないので、今から数カ月かけて準備していく。一人ひとりがすべての面でレベルアップして、代表に来てチームとして結束することでもっと強くなっていく。一人ひとりの努力は絶対に欠かせない」

今回の金丸のように、これまで代表の選考に入っていなかった選手に対しても、これから代表入りできる可能性はあるのかと問うと、ラマスは「どの選手に対してもドアは開かれている」と明言した。

東京オリンピックまであと半年。しかし「まだ半年ある」という見方もできる。これまでの『代表の常連』を追い落とす存在が出てくることで競争は活性化し、それはチーム強化に確実に繋がるはずだ。飛躍が期待される選手をピックアップして紹介する。

テーブス海

テーブス海

宇都宮ブレックス ポイントガード/188cm
11試合(10.6分)出場 6.3得点、2アシスト

今シーズン途中に、ノースカロライナ大ウィルミントン校から宇都宮に入団したテーブス。NCAAディビジョン1で平均8.8得点、7.8アシストを記録したようにその非凡なパスセンスは世界レベルだ。

ワールドカップで間の当たりにしたとおり、世界の強豪が相手となれば八村塁でも簡単にシュートを打つことはできない。テーブスのように自ら打開してズレを生み出し、より良いシュートシチュエーションをスコアラーに供給するプレースタイルがチームにフィットすれば、ワールドカップで体験した閉塞感は打ち破れるはずだ。もっとも、まずは代表よりも宇都宮で信頼をつかむことが先。10分あるかないかのプレータイムではアピールにならない。

河村勇輝

河村勇輝

三遠ネオフェニックス ポイントガード/172cm
9試合(23分)出場 13.2得点、2.9アシスト、1.4スティール

B1史上最年少出場と得点の記録を更新し、圧巻のパフォーマンスを続けるスーパー高校生。その爆発的なスピードを生かしたトランジションからの速攻や、高確率な3ポイントシュート(38.8%)で平均13.2得点を記録している。

世界と戦うためにサイズアップに注力する今の日本代表に、富樫勇樹に続いて2人目となる小さな選手が入るのは簡単ではない。だが、世界と高さで渡り合うのではなくスピードで凌駕すると考えれば、ポイントガードだけは小さくても特徴のある選手を起用してもいいのではないか。河村はまだ粗削りではあるが、高いレベルでプレーさせることでどんどん成長していくはず。B1で物おじせずに自分のプレーを貫ける強心臓ぶりも代表で成功できる要素だろう。

富永啓生

富永啓生

レンジャー短大 シューティングガード/185cm
30試合(30分)出場 17得点、3ポイントシュート成功率48.6%(102/210)、2.3リバウンド

2018年のウインターカップで得点王(平均39.8得点)となった富永。準決勝で福岡第一にフェイスガードを受ける中、次々と3ポイントシュートを沈めて37得点を挙げた試合はインパクト大だった。その後、アメリカへと渡りレンジャー短大で結果を残し、2021年秋にはNCAAでも屈指のエリートカンファレンス、BIG10に所属するネブラスカ大への編入が決まっている。

バックステップでの3ポイントシュートも得意とし、ラインから遠く離れた場所からでも決めれるシュートレンジの広さは世界レベルであり、アメリカ1年目で結果を残す順応性も魅力。日本代表に3ポイントシュートが足りないのであれば、富永の招集は最善の解決策になるはずだ。