文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
本来のプレーを取り戻しシーズンハイの23得点
琉球ゴールデンキングスは昨日、第1クォーターで23点差をつけるロケットスタートを切り、敵地で横浜ビー・コルセアーズを粉砕した。
今シーズン4度目となる90点オーバーのオフェンスを牽引したのは古川孝敏だ。古川はケガから復帰した後の6試合で3ポイントシュートが14本中1本のみの成功と本調子とは言えない状況だった。だが昨日の試合では6本中5本の3ポイントシュートを成功させ、得意のキャッチ&シュートを高確率で沈めてゲームハイの23得点を記録した。
復帰後は2桁得点がなかったが、2桁どころか20点オーバーと完全復活をアピール。それでも本人は「結果的にただああなったということで、個人的にはまだまだ満足はしていないです」とあっさり。「あれを常にパフォーマンスとして出せればベストですけど、ステップアップしていきたいというのが自分の中であるので」と継続の重要性を説いた。
琉球は第3クォーターを終えた時点で34点リードとほぼ勝利を決定づけていた。それでも最終クォーターで大きな声を出して手を叩き、チームを鼓舞する古川の姿は印象的だった。「差はついてたかもしれないですけど、40分間通してどんな展開の中でも、自分たちのバスケットをしっかり理解して、集中力を切らさずにやりきることが強いチームだと思うので」と古川。
「あそこで気を緩めずに叩き潰すくらいの気持ちでやらなければ。そういう戦い方というかメンタリティが大事」という精神でわずか3分の間に2本の3ポイントシュートと2本のフリースローすべてを成功させトドメを刺した。
ハドルは「意識的に気づいた選手がやるべき」
バスケットボールだけに限らず多くのスポーツで、円陣やハドルを組んで意思統一を図る場面を多く見るようになった。バスケットボールの場合、コート上の監督とも呼ばれるポイントガードが中心となってハドルを組むシチュエーションが多い。だが琉球の場合、古川がチームメートを集めるシーンを多く目にする。
「誰が、というものではないので、意識的に気づいた選手がやるべきだと思っています」と古川。役割として決まっているわけではないが、率先してハドルを組む。「中にいる5人で確認することがすごく大事です。意識的に伝えれらるようにしていきたいし、そこは自分の役割でもあると思うので」
古川がそこまで意識的にハドルを組む理由は、それが琉球の課題だったからだ。「ここぞの場面、みんなで戦わなければいけない時にうまくいかず、雰囲気が重くなるシーンが今までありました」
古川が離脱中の琉球は7勝4敗と期待値を下回っていた。古川が指摘した部分がその結果に響いていたのだろう。
結果でなく過程を重視「自分たちがどう戦うか」
攻守ともに洗練されたパフォーマンスで横浜を撃破し、自身もシーズンハイの出来を披露した。だが「結果的なところより自分たちがどう戦うか、40分間100%を出し切れるかというところなので」と、古川の表情は崩れない。「ターンオーバーも多かったですし、もったいないところもあったので、ここでまた気を引き締めなければいけない部分なのかな」と、むしろ反省材料を強調する。
「結果をうれしいと思う気持ちもありますけど、そこに一喜一憂するのではなくて」と古川は言う。「良いところは良いととらえて前向きに行きますし、ダメなところはしっかり反省してどうやっていけるか。その繰り返しだと思うので」
まだベンチスタートが続くが、プレータイムは徐々に伸ばしており、本来のパフォーマンスを取り戻したと言っていいだろう。チームは6連勝と好調だが、そんな時こそ落とし穴が待っているもの。それでも『慢心』とは無縁の古川がチームの手綱を握る限り、琉球が大崩れすることはないはずだ。