竹内公輔

「走力で負けないように半年間取り組んできた」

アジアカップ予選の初戦となったチャイニーズタイペイ戦、ベテラン勢で目立った働きを見せたのが竹内公輔だった。第2クォーターの終盤に相手の勢いに押され、序盤の楽勝ムードにかげりが見られた状況で、後半のスタートを任された公輔はディフェンスとリバウンドのハードワークからチームに流れを呼び戻した。この時間帯に堅守からのトランジションという展開に持ち込めたおかげで、点差を開いての快勝となった。

「コーチは2週間前に合宿が始まった時から、強度の高いディフェンスをずっと求めていました。そこに立ち返ってオフェンスよりもディフェンスの強度を上げて、相手の得意なことをさせないことを意識しました」と公輔は後半立ち上がりのプレーを振り返る。

実際にそれが上手く行ったのは、合宿から意識を高く徹底した練習を続けてきたからだと公輔は言う。「Bリーグのシーズン中の合宿で、練習の時間も短くはなかったんですけど、その中でも毎週長いミーティングをして、練習から強度の激しいディフェンスをやろうという意識を共有しました。それで本当にみんな練習後クタクタになるぐらい、合宿で追い込んできたので。短い合宿期間でしたけど、その成果をプレーに出せたと思います。これからオリンピックになればもっと強い相手と当たるので、その相手にもできるように継続していきたい」

もちろん、それは昨夏のワールドカップで味わった世界とのレベルの差、悔しさや不甲斐なさを忘れていないからだ。

「世界のバスケットって今どんどん変わっています。それでも日本はサイズとか身体能力でどうしても劣ってしまうので、ボールをいかに動かしていかにノーマークを作って、いかにシュートを決めるかが大事になってきます。僕個人としてもその中で戦うためには、もっともっとアウトサイドのシュートも決めていかないといけないし、もっと走らないといけない。ハーフコートでバスケットをしても厳しいので、オールコートでのバスケットができるように、もっともっと走って走力では負けないようにと半年間取り組んできたつもりです」

竹内公輔

臨機応変のプレーでロシターの活躍を『アシスト』

今回、代表チームの帰化選手枠にはライアン・ロシターが選ばれた。公輔にとっては宇都宮ブレックスで一緒にプレーするようになって4年目を迎えており、「ずっと一緒にやっているので、やりやすいのは間違いないです」という関係だ。ロシターが代表チームに順応する上で、経験豊富な公輔のサポートもあった。

「今日、僕が最初に得点したプレーは、実はライアンがフォーメーションを間違えていたんです。ブレックスのフォーメーションをやっていたから、僕が臨機応変に彼の動きに対してカバーして合わせることで得点になりました。『ブレックスの感じでやっているな』と思ったので、僕もその動きをしたら上手く合いました。ハーフタイムにその話をしたんですけど、合宿期間が短いから仕方ない、こちらが合わせるからブレックスの感じでやっていいぞ、と話し合いました」

第1クォーター残り2分半あまりのところで生まれたアシスト。公輔の機転によってミスがアシストに変わったことで、ロシター自身も勢いに乗れたのではないだろうか。代表チームで集まる以上はどの選手とも呼吸を合わせなければいけないが、ロシターとしては公輔と一緒にコートに立つ時間帯はストレスなくプレーできそうだ。

オリンピックまであと半年。まずはBリーグに戻ってそれぞれのレベルアップに励むことになるが「まだまだ足りないところだらけですね」と公輔は言う。「個人的にはもっともっとリバウンドにも絡みたい。リバウンドは今日はライアン任せになっていました。これからもっとサイズのあるチームとやったら厳しくなるはずですし。あとは個人としてはアウトサイドのシュートを磨くことが必要だと思っています」

いよいよオリンピックへのカウントダウンが始まる。これまで以上に日本代表への注目が高まることを感じつつ、公輔はこう語った。「今回は無観客試合なのに日本から応援に来てくれた人もいて、正直すごく感動しました。テレビで応援している人もたくさんいると思います。まずは2020年最初の代表戦でしっかり勝てて良かった。次にホームで試合をやる時には、個人としてもチームとしても、もっと成長した姿を見せたいと思うので、頑張っていきます」