文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

ミドルレンジからのシュートも高確率で決め優位に

Bリーグ再開の12月2日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは愛知県体育館に京都ハンナリーズを迎えた。

立ち上がりから両チームとも積極的にペイントエリアまで仕掛ける点の取り合いに。それでも京都のアクシデントを機に名古屋Dに流れが傾く。トップスピードでリングにアタックした伊藤達哉がゴール裏のカメラマン席に突っ込んで痛んでしまい、綿貫瞬が投入されたが準備が十分ではなくチームのリズムが崩れてしまった。

またシュート確率の差もあった。オープンのコーナースリーを外す京都に対し、名古屋Dはミドルレンジからのシュートも高確率で決めていった。

こうして第1クォーターは33-20と名古屋Dが圧倒。第2クォーター以降はジュリアン・マブンガのドライブを止められず、ファウルがかさみ苦しんだが、名古屋Dのシュートタッチの良さが上回る。前半の最後にはビッグマン3人を同時起用した京都の策の逆を突き、安藤周人と中務敏宏が連続3ポイントシュートを決め、57-45とリードして折り返した。

後半に入り、マブンガのドライブに対応するジェロウム・ティルマン、張本天傑が揃ってファウルトラブルとなるも、笹山貴哉、船生誠也と日本人選手がインサイドを攻めて得点ペースを落とさずにリードを広げていく。第3クォーターを終えた時点で81-62、名古屋Dがこのまま余裕の勝利を収めるかと思われた。

『逆転の京都』が意地を見せた第4クォーター

それでも第4クォーター立ち上がりから、『逆転の京都』が目覚める。ここまで無得点だった岡田優介が連続3ポイントシュートで試合の流れを変えると、晴山ケビンが鋭いカットからバスケット・カウントをもぎ取る3点プレー。ジョシュア・スミス、再び晴山と得点を決める電光石火の13-2のランで75-83、一気に1桁点差にまで詰め寄った。

ここで安藤周人が連続得点で京都のランを止めるが、そこからは激しい点の取り合いに。張本もティルマンもファウルアウトで退場となる中、岡田が5本決めた3ポイントシュート、スミスのオフェンスリバウンドからの得点で京都が猛追するが、残り2分半、91-99の場面でマブンガが痛恨のファウルアウト。

京都はなおも粘りの戦いを演じ、残り40秒で6点差まで詰めたが、反撃もここまで。最後は船生のアシストを受けたジャスティン・バーレルが通算1000得点目となるアリウープ・ダンクを決め、105-97で名古屋Dが勝利した。

「アップテンポなバスケで走る」意識が功を奏す

敗れた京都の浜口炎ヘッドコーチは「出だしから主導権を握られ、高確率でシュートを決められてしまいました。ファストブレイクでこれだけ得点されていては勝てない」と守備に課題があったという認識。第4クォーターに見せた猛反撃も「野球でも、試合が決まった後にホームランが出ることはありますけど、それは意味がないので」と評価しようとはしなかった。

反撃の主役を演じた岡田もそれは同じ。「あの展開で勝つ確率は低い。少ない可能性に賭けてプレーをチョイスしているだけで、冷静なゲーム運びをされてしまったら追い付けないです。あの状況になればやるしかないが、それ頼りではいけない」と険しい表情。「ピック&ロールへの対応が後手に回った。まずは1対1のディフェンス、ビッグマンへの対応が準備不足でした。またトランジションで守りに戻るのが完全に遅い。そこは言い訳ができないです」と、33失点を喫した第1クォーターの守備を課題に挙げた。

名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは「オフェンスでフラストレーションが溜まる試合が続いていた。アップテンポなバスケで走ろうと、それがうまくいった」と満足気な表情。シュートが決まることで判断にも迷いがなくなり、思い切ったプレー選択がさらにチームに勢いを与える好循環となった。特にファストブレイクからの得点は京都の4に対し名古屋Dは27と圧倒した。

そのような形でオフェンスが機能した結果、試合を通じて56.7%と高確率でシュートが決まり、今シーズン初の100点ゲームとなった。まだ黒星は先行しているが、長いシーズンを戦う上で浮上のきっかけとなる勝利と言えるかもしれない。