文=丸山素行 写真=野口岳彦
苦戦が続く栃木に追い風、渡邉が現役復帰
栃木ブレックスは昨シーズン限りで引退した渡邉裕規の現役復帰を発表した。
渡邉は180cm78kgのポイントガード兼シューティングガード。2013年から栃木でプレーし、Bリーグ初年度となった昨シーズンはレギュラーシーズン全60試合に出場し、田臥勇太のバックアップを務めた。平均19.6分の出場で7.3得点2.5アシストを記録し、不動のシックスマンとして活躍した。
また渡邉はクラッチシューターと呼ぶにふさわしい勝負強さが魅力で、数字以上の存在感を放った。ショットクロックわずかな場面で沈めた3ポイントシュートは数知れず、チームが劣勢に陥った時に流れを変えるキーマンとして重宝された。
現在栃木は7勝10敗で激戦区の東地区で最下位に沈んでいる。まだ序盤ながらヘッドコーチが交代するなど、苦戦が続いていた。
そんな状況で舞い込んだ渡邉の現役復帰。もし渡邉が万全の状態で栃木に合流できれば、田臥の負担は大きく軽減される。そして安齋竜三ヘッドコーチは4年間をともにし渡邊の良さを熟知していることもあって、攻撃のバリエーションは増えるだろう。
現在田臥のバックアップを務めている生原秀将は、渡邉がゲームメークに専念することによってその非凡なシュート力をより発揮できるかもしれない。鵤誠司や遠藤祐亮もそれぞれの長所を生かすだけでなく、これまでとは異なる起用法で新たなアクセントになると期待できそうだ。
そして何より、自他ともに認めるチームのムードメーカーが帰ってきたことによって、チームの雰囲気やブースターの後押しもこれまで以上のものとなるに違いない。
渡邉は栃木の救世主となれるか、その復帰戦に注目が集まる。