横浜優位の序盤、金丸晃輔の個人技で踏み留まる
シーホース三河は11月18日、横浜ビー・コルセアーズとの第1戦を66-56で勝利している。それでも鈴木貴美一ヘッドコーチは「66点はウチとしては調子が良くなかった」と、今シーズン2番目に少ない66得点を課題に挙げている。それを受けての昨日の第2戦、三河のオフェンス力が爆発して90得点を記録した。
もっとも、序盤は横浜の狙い通りに進む展開だった。第1クォーターで外国籍選手オン・ザ・コート「2」を選択した横浜は、ハシーム・サビート・マンカが221cmの高さを生かし、三河のオフェンスの起点となる桜木ジェイアールに仕事をさせない。これで桜木はリズムを崩してしまい、この試合を通して2得点と不発に終わった。
横浜は攻めも効いていた。立ち上がりから川村卓也の連続3ポイントシュートで先制パンチ。その後も田渡凌が果敢なドライブから自在にパスを散らしてシュートチャンスを演出していく。シュートの確率自体は必ずしも高くなかったが、オフェンスリバウンドでも三河を上回った。
何から何まで横浜優位に進んだ第1クォーターにおいて、唯一の例外が金丸晃輔だった。チームオフェンスが機能していない中で3本の3ポイントシュートを含む5本のシュートをすべて沈めて13得点。これで苦しい10分間を20-26でしのいだことが第2クォーターに生きてくる。
たたみかける猛攻、一気に逆転しそのまま突き放す
三河がオン・ザ・コート「2」になった第2クォーターは形勢逆転。アイザック・バッツとダニエル・オルトン、立っているだけで圧力十分のインサイドを見せておいて、実際には外角シュートで攻める。この試合ではセカンドユニットに回った比江島慎、松井啓十郎、そして橋本竜馬と立て続けに決める3ポイントシュート攻勢で一気に逆転まで持っていった。
三河の勢いは止まらず、比江島が起点となった速攻からオルトンがゴールをぐわんぐわんと揺らすド迫力のダンクを決めた残り2分48秒には48-37と突き放す。さらにはファウルがかさんだ横浜がゾーンディフェンスに切り替えると、その隙を突いて松井が立て続けに3ポイントシュートを決める。三河はこの10分間で38得点を奪う猛攻で試合をひっくり返した。
両チームともオン「1」の第3クォーター、佐藤託矢にマークされる桜木は、起点にはなれても自分からアタックには行けず、三河の得点ペースが落ちる。横浜はサビートにボールを集めて攻め、第1クォーターに続きオフェンスリバウンドも拾って差を詰める。
それでも、一度優位に立った三河の試合運びは盤石だった。シュートタッチが悪く得点が伸びない状況でも、ディフェンスを締めて連続得点を許さない。第4クォーター、2桁前後のリードを維持しながら時計の針を進めるうちに、追い付こうと無理をする横浜はオフィシャルタイムアウトの時点でチームファウルが5に到達。これで三河のプレーにはさらに余裕が出て、終盤を軽々と乗り切って90-72で勝利した。
中断期間開け、真価が問われるA東京と川崎との連戦
これで三河はBリーグ新記録の16連勝。開幕戦を落とした以降はすべて勝利し、勝率94%とリーグ全体勝率トップを快走している。中地区で三河に続く富山グラウジーズと三遠ネオフェニックスは7勝10敗と勝率5割以下で、すでに三河の独走態勢と言っていい。日本代表合宿に主力を送り出していることでコンディション調整が難しく、何よりチーム全員が揃って練習できる機会が限られる中、これだけ安定した結果を出せているのは驚きだ。
横浜の古田悟ヘッドコーチは、38失点を喫して第1クォーターの最高の出来を帳消しにしてしまった第2クォーターを悔やむ。「相手のシューター陣がいる中でゾーンを敷いて連続的にやられた。マンツーマンでは厳しいと思いゾーンにしたのですが、相手にインサイドもアウトサイドも含めてうまく決められてしまった。人数が少ない中でやりくりは大変なんですけど、ただどんな相手にも通用できるようなディフェンスをもっとしていきたい」と次戦以降の巻き返しを誓う。
絶好調の三河だが、来週の天皇杯を挟んで試練が待っている。ホームでアルバルク東京と、続いてアウェーで川崎ブレイブサンダースと対戦。三河は16連勝しているとはいえ、『ビッグ5』内での対戦は連勝の1つ目の栃木しかない。A東京と川崎を相手に連勝を伸ばせばいよいよ本物だが、ここで負け越すようだと評価は下がる。三河の強さが本物かどうか、真価を問われる試合はすぐ先まで来ている。