文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

後半に走ったSR渋谷が逃げ切りに成功

サンロッカーズ渋谷vs島根スサノオマジックの第2戦。第3クォーターで島根を9得点に封じ、オフェンスでもペースアップに成功したSR渋谷が69-62で逃げ切り、7連勝を飾った。

オン・ザ・コート数は両チームともに「1-2-1-2」を選択。互いに安定したインサイドプレーで得点を重ねるも、ズレを作らせないディフェンス合戦となり重い展開が続く。だが、33-32と島根がわずかにリードして始まった後半、SR渋谷が自慢の堅守からペースをつかむ。高い位置からプレッシャーをかけボール運びからストレスを与える。ピック&ロールに対してはボールマンにダブルチームを仕掛けて、島根オフェンスの自由を奪い、24秒バイオレーションをたびたび誘発した。

オフェンスでは山内盛久や長谷川智也のペリメーターからのシュートが高確率で決まり、満原優樹がスティールからこの試合初めてとなる速攻を決める。後半開始3分で10-0と走ったSR渋谷がこのクォーターの失点を9点に抑え、52-42とリードした。

最終クォーター、パスが良く回りシュートチャンスを作り出すSR渋谷だが、フィニッシュが決まらずじわじわと島根に詰め寄られた。それでも広瀬健太のワンマン速攻を防ぐハリーバックが示すように、SR渋谷はディフェンスで崩れずリードを保った。

残り4分41秒、長谷川がアーリーオフェンスから3ポイントシュートを沈めて、61-51と再び点差を2桁に乗せオフィシャルタイムアウトを迎えた。その後は島根も意地を見せ、残り1分に相馬卓弥の速攻が決まり5点差に詰め寄るも、直後のオフェンスで24秒をフルに使い、ロバート・サクレがゲームハイとなる20点目をゴール下でねじ込み勝負あり。島根にファウルゲームすらさせずSR渋谷が逃げ切った。

ハイパフォーマンスを生み出したチームの「一体感」

勝久ジェフリーヘッドコーチは「第3クォーターのディフェンスからオフェンスに持っていく自分たちのスタイルが、この試合を左右した」と勝因を語った。ただ、7連勝でリーグ中断期間を迎えるにもかかわらず、その表情は冷静だった。「直さないといけないことはたくさんあります。やるべきことができてないと、自分はそこに目がいってしまう」と課題の修正を第一に考えていた。

その「できていない」部分について、「慌ててしまう時間帯があると思います。速くプレーするんですけど、頭は冷静にというのができていない。特にトランジションの時に目立っている気がします」と説明。確かに、せっかくボールを奪っても、ミスでポゼッションを渡してしまうシーンが何度も見られ、試合の主導権をつかむまでに時間がかかっていた。

また「今のチームで大事にしていることは一体感」と説明した上で、「選手達がお互いに声を掛け合って直すべきところを直そうと、コーチ陣が言うべきことがないくらい自分たちが分かっていたので、それを第3の出だしからやってくれたというのがこの試合のすべてだったと思います」とコート上でコミュニケーションを取った選手たちの『絆』をあらためて強調した。

「勝負どころでミスから自滅」した島根

敗れた鈴木裕紀ヘッドコーチは「前半とても良い形でクロスゲームに持っていけてるところを、勝負どころでミスから自滅をしてしまって、相手にモメンタムを持っていかれてゲームが終わってしまった」と、やはり第3クォーターの攻防が勝敗を分けたと語った。

「ボールプレッシャーが強くなった時にガード陣がそれに対してボールラインを下げられず、ボールラインが上がってしまってターンオーバーが起きて、そこからファストブレイクにつながってしまった」とSR渋谷に走られたシーンを振り返った。

リングにアタックするシーンが少なかったと見受けられたが、鈴木コーチも「ペイントタッチのところはチームとしての課題です」と語る。「今回のラインナップはみんながアウトサイドのシュートの得意な選手たちで、ペイントタッチの部分は初めに意識させていたんですけど、できないところを求めてチームとしてのリズムが悪くなっていった時期があった」

この試合まで平均66.8失点でリーグ1位の守備力を誇るSR渋谷。今日の試合でもディフェンスからリズムをつかみ、トランジションから逃げ切りに成功した。昨シーズンの優勝チームである栃木ブレックスが示すように、ディフェンスで崩れないチームは最終的に上位に浮かびあがる。大きく崩れない堅守を武器に、SR渋谷は連勝街道を突き進む。