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プレーオフでの激突は「神様が作り上げる物語」

王者ウォリアーズに勝利し14連勝を達成したセルティックスは、今のNBAで最も勢いのあるチームだ。開幕戦でゴードン・ヘイワードがシーズン絶望の重傷を負った後、カイリー・アービングだけの力では苦戦すると予想されたが、アル・ホーフォード、2年目のジェイレン・ブラウン、ルーキーのジェイソン・テイタムがそれぞれ主役の働きを続け、チーム一体となっている。

セルティックスとは正反対の道をたどったのは、3シーズン続けて東カンファレンスを制してきたキャバリアーズだ。カイリーが退団したものの、大幅な戦力補強により開幕ダッシュに成功するかと思われたが、組織的なディフェンスを構築できずに接戦を落とす試合が続いた。それでも、ようやく今シーズン初の4連勝を記録し、浮上の兆しが見える。

レブロン・ジェームズの出場時間が増えているのは改善されるべきだが、このままキャブズが好調を維持すれば、大方の予想通り、東のプレーオフはセルティックスとの一騎打ちになる可能性が高い。

アービングとのトレードでキャブズに移籍したアイザイア・トーマスは、股関節の負傷からまだ復帰できていない。本人は「考えないようにしている」と語ったが、最愛の妹が他界した翌日にもプレーするほど『ボストン愛』を誓ったにもかかわらず、オフに放出されたことに対する憤りは消えていないようだ。『USA Today』とのインタビューで、トーマスはセルティックスとの決戦について「刺激になっている」と語った。

「できるだけ考えないようにしているけど、100%の状態で復帰するために毎日ジムで練習したり、ウェイトルームでトレーニングしたり、何をしていてもセルティックスとの対戦をモチベーションにしている自分がいる」

セルティックスとの対戦が東の決勝で実現すれば、トーマスのモチベーションは最高潮に到達するだろう。「もし実現したら、神様が作り上げる物語になるね。自分が望む形とまでは言わないけれど、どういう状況であっても、そうなる気がする。セルティックスが勝ち上がれば、僕たちも勝ち上がる。そこで激突する。それから後のことはやってみなければ分からない。ただ、どういう状況であっても、僕は準備を整えておくよ」

まだレギュラーシーズン20試合も終えていない時期にもかかわらず、ここまで話題に上る対戦は珍しい。両チームともに今後越えなければならない課題は必ず出てくる。それらを乗り越えられれば、自然と舞台は整うだろう。レブロン・ジェームズからの独り立ちを決意したアービングの一件も含め、今夏の経緯を考えれば、セルティックスとキャブズは、そういう宿命にある気がしてならない。