石井講祐

1点差と肉薄する連続3ポイントシュート

オールスターブレイク明けの1月22日、サンロッカーズ渋谷はアルバルク東京と対戦した。

SR渋谷は序盤の2桁ビハインドを覆すなど粘り強く戦ったが、最終クォーターに落とし穴が待っていた。結果的にメンバーチェンジがきっかけとなり、約1分半で0-15と致命的なビハインドを背負った。

残り2分を切った時点で11点差。試合巧者のA東京を相手にその数字は厳しすぎるものだったが、それでも石井講祐が「誰もあきらめていなかったので、もう一回やろうという意識で行けました」と話したように、ここからSR渋谷は怒涛の追い上げを見せた。

持ち味とする前線からのプレッシャーディフェンスにより連続でターンオーバーを誘発し、時間をかけずに得点していった。そして、石井は1on1からステップバックの3ポイントシュートを沈め、残り9秒にはベンドラメ礼生のパスカットからボールを受け、1点差に迫る3ポイントシュートを成功させた。

その後、ファウルゲームに持ち込むことができずにタイムアップを迎えたが、観客は接戦に持ち込んだSR渋谷を称えるように割れんばかりの拍手を送った。

石井は「出だしの部分とビッグランを複数回作ってしまったのがもったいなかった」と悔やむ。それでも、相手に流れが行きそうな場面で3ポイントシュートを成功させるなど、効果的な活躍を見せたのもまた石井だった。

「1スクリーンでシュートに行ったり簡単に打っていて、楽なディフェンスをさせてしまっていました。逆に僕たちは長くパスを回されて、セカンドチャンスを取られて。そういう展開だったので、意識して入りました」

石井講祐

「後半戦もチームのプラスになれる」

石井は終盤の連続3ポイントシュートなど効果的なプレーを見せ、6本中5本の3ポイントシュートを沈めて17得点を挙げた。「ある意味、奇跡的」と石井も言うように、A東京をギリギリまで追い詰めたが「勝たないと意味がない」とも語る。

もちろんプロの世界は結果がすべてだが、勝つにしても負けるにしても、内容の良し悪しは必ず存在する。石井も「ブローアウト負けより全然良い」と肯定する。

「本当はもうちょっと早い段階でシーソーゲームに持って行きたかった。でも1点差まで行けましたし、あきらめない気持ちを今年は常にみんなが見せられているのはプラスに捉えていいと思います」

昨シーズンのSR渋谷は同地区の上位チームに対し、終盤まで良い勝負をするも集中力が切れて大敗を喫することが多かった。石井はこうした弱さを補うためにやってきて、その役割を見事にこなしている。

「ケガで外からチームを見ていた時間が長かった分、ここでこういうプレーができたらもっと良いのにとか、冷静に見れるようになった気はします。ポイントポイントで必要なプレーがしやすくなって、後半戦もチームのプラスになれるという手応えは感じるようになりました」

天皇杯を制し勢いに乗るSR渋谷だが、「リーグ戦では3位ですし、今年はチャレンジャーと皆が口を揃えて言っている」と驕りはなく、挑戦者のスタンスを貫いている。

復帰当初はプレータイムが制限され、10分に満たない試合が多かったが、直近の2試合では平均20分を超えるプレータイムを得た。完全復活を遂げ、円熟味が増した石井がSR渋谷を高みへと導く。