強豪相手にも「何もできなかったということはない」
Bリーグ第5節、富山グラウジーズはアルバルク東京に連敗を喫した。A東京の強さが目立った2試合ではあったが、2戦目については完敗だった初戦からクロスゲームに持ち込む富山の修正力もまた印象的だった。
今シーズンから富山に加入した大塚裕土もその部分に目を向ける。「ピックが多くてそこをうまく守れなかったですが、リーグでも一番効率の良いオフェンスのチームなので、そこに取り組めたのは良かったです」
失点は104から78に大幅に減少し、指揮官のミオドラグ・ライコビッチも「私がインストールしようとしているディフェンスが選手に浸透し始めていると感じたゲーム」と手応えをつかんだ様子だった。
昨シーズンの富山は開幕戦で勝利した後、悪夢の14連敗を喫した。ヘッドコーチが変わり選手の変動もある中で、強豪との連戦を終えての4勝7敗という数字は悪くない。
大塚も「何も勝負できないところはない」と変革期を迎えているチームに自信を持っている。「2回勝つのはまだちょっとキツイですが、(シーホース)三河に対しても名古屋(ダイヤモンドドルフィンズ )に対しても、正直何もできなかったということはないので。僕も今年から入ったので昨シーズンのことは分かりませんけど、全然違うチームになってきていると思います」
SR渋谷での経験を生かしステップアップ
新加入の大塚はここまで平均9.3得点と富山の日本人選手の中では宇都直輝に次ぐ貴重な得点源となっている。特に3ポイントシュートの成功率は45.8%(リーグ6位)と高確率で、成功数でもリーグ2位とそのシュート力が脚光を浴びている。
それもこれも、移籍した富山でプレータイムを得たからこその結果だ。輝きを取り戻した大塚は「プレーヤーとしてやってる以上、その欲はどうしても出てくるので、プレータイムが一番です」と移籍の動機を明かした。
昨シーズン在籍したサンロッカーズ渋谷では先発は5試合、プレータイムも平均10.9分とキャリアワーストの出場時間に終わっていた。だが、SR渋谷での経験が今に生きている。「広瀬(健太)さんに学んだこととか、普段の練習でも学んだことはいっぱいあるので、それはすごいプラスになってます。だからこそ次の年、プレータイムをもらってパフォーマンスしたいっていうのがありました」
「ハマればトランジションの速さには自信がある」
A東京との2連戦では得意の3ポイントシュートが不発に終わり、「簡単にボールが持てなかったです正直」と強度の高いディフェンスに手を焼いた。三河やA東京といった強豪との試合で手応えが得られている一方で、優勝候補として名前が挙がるチームとの差を大塚は感じている。
「A東京とか三河とか川崎は誰が出てもチーム力が変わらないじゃないですか。ディフェンスがこう動いたらこう動くという共有が5人すべてできています。スカウティングをしてもどんどんパスを回されるし、その質はチャンピオンシップに出る出ない、優勝に絡む絡まないチームの差を正直感じます」
それでもまだシーズン序盤、富山の持つ可能性に賭ける大塚の気持ちは変わらない。「ハマればトランジションの速さには自信があります。僕もそれには自信を持っているので、どれだけ出せるかですね」
また他の強豪と同じように、誰が出場しても力を落とさないためにチームの底上げが急務だと話した。「メンバーが変わった時こそエナジー出して、マイナスにならないようにしないといけないです。そこの強さを早い段階でチームは身につけなきゃいけないところですね」
覚醒した宇都がチームを引っ張り、外国籍トリオの安定した活躍が富山を支えている。そこにプレータイムを伸ばし、新天地で輝きを放つ大塚が加わったことで富山の可能性は大きく広がった。ライコビッチの手腕とともに、大塚のプレーに注目したい。
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