文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
復調の辻、選手層の厚さを見せる川崎
川崎ブレイブサンダースと新潟アルビレックスBBの対戦は、ニック・ファジーカスと辻直人の両エースが揃って20得点以上を挙げ、さらにチームの総合力で上回った川崎が勝利した。
序盤からファジーカスが11得点、ダバンテ・ガードナーが12得点と両チームの得点頭が止まらない。それでも川崎は1対1で強度の高いディフェンスでプレッシャーをかけ、新潟のミスを誘う。篠山竜青、長谷川技、ファジーカスのスティールを速攻につなぐ効率の良い攻めで25-16とリードした。
第2クォーターに入ると、ファジーカスを止められない新潟はゾーンに切り替えるが、川崎は軽快なパス回しからノーマークを作り出し、ゾーン攻略の肝である3ポイントシュート攻勢に出た。特に川崎のダブルエースの一角である辻は、素早いリリースから3本連続で3ポイントシュートを沈めこのクォーターで11得点を稼ぎ出す。
新潟はガードナーがこのクォーターでも10得点を挙げ、五十嵐圭と鵜澤潤の3ポイントシュートで追いすがるが、ほとんどの攻撃がセットオフェンスで重たくなり、連続得点を奪えずリードは開いてしまう。
52-36と2桁以上リードして迎えた後半、川崎優位のまま試合は進む。10人の選手をタイムシェアで起用することでフレッシュな状態を維持し、ディフェンスの強度が落ちない。これを打開すべく五十嵐が果敢にリングへアタックするが、キックアウトのパスが合わずターンオーバー連発。残り6分52秒、辻の3ポイントシュートが決まり62-41と点差は20の大台に乗った。
それでも新潟は佐藤優樹が速攻を繰り出しバスケット・カウントを誘発し、ガードナーが個人技から高確率でシュートを沈め食らいついていった。
76-57と川崎がリードして迎えた最終クォーター、ファジーカスを休ませている間にジャレッド・バーグレン、オースティン・ダフォーにインサイドを攻められ反撃を受ける。残り6分53、五十嵐に3ポイントシュートを決められ12点差まで詰め寄られる。それでもファジーカスがコートに戻ると追撃を断ち切り、93-78で逃げ切った。
終始主導権を渡さなかった川崎
北卓也ヘッドコーチは「終始リードして、良い展開だったと思います。向こうはガードナー選手が起点となって、タフショットも決められて、粘り強かったです」とガードナーに38得点を許し粘られたものの、主導権を握り続けた試合展開に満足気な様子。
また「タフなスケジュールなので、控えメンバーを多く使ってというのがありました。まだまだやれる力はあると思いますので、控えメンバーにも期待しつつ、明日またいいゲームをしたいと思います」とセカンドユニットの底上げも見据えた采配について説明した。
6本の3ポイントシュートを含む、シーズンハイの25得点を挙げた辻は復調気配。「前節、アルバルク東京戦で不甲斐ない結果だったので、これはダメだなと思って今日は思いきってやりました。今日をきっかけに調子を上げていきたいと思います」と語った。
「日本人選手の得点力、守備力の差が出てしまった」
一方敗れた庄司和広ヘッドコーチは「特に日本人選手の得点力、守備力の差が出てしまったという印象です」とコメント。ガードナーは38得点と爆発したが、チームの総得点の約半分を彼が担っているバランスの悪さ、日本人選手の得点力不足という課題をこの試合でも露呈した。
またターンオーバーの数は川崎の6に対し新潟は15。庄司コーチの言う「守備力の差」が数字に表れている。「タフな日程の中、選手達はハードに戦ってくれたと思いますが、怪我人もいて人数がギリギリの中で厳しいゲームとなってしまった」ともコメント。
新潟は日本人選手の得点源として期待された城宝匡史が故障中という苦しい状況。タイムシェアを敢行する川崎に対し、8人で試合を戦わざるを得なかった。川崎は選手層が厚く、さらに辻が復調の兆しを見せている。新潟としては何かしらの策を講じないと昨日の試合の二の舞になってしまう。今日16時05分ティップオフの第2戦ではベンチワークに注目したい。
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