大分県日田市の『普通の高校』で頑張るバスケ部!
これまで全国のバスケットボール強豪校やアンダーカテゴリーの日本代表選手を紹介してきましたが、バスケが好きでプレーを楽しむ人はみんな等しく尊いのです。そんなわけで、大分県日田市が取り組むサービス『ひたふるさと案内』(ひたふる https://hitafull.jp/)の協力を受けて、『昭和学園高等学校』のバスケットボール部を取材しています。
大盛況となった昨年末のウインターカップ。福岡第一、桜花学園と男女ともに多くの優勝経験があるチームが高校バスケの頂点に立ちました。我らが昭和学園高校バスケ部は、男女ともにウインターカップの大分県予選で早々に敗退。3年生が引退して新チームになり、やっぱり全国制覇ではなく「公式戦で1勝!」を目標に新たなスタートを切りました。
今回は武者修行編ということで、女子バスケ部が福岡県に遠征して九州トップレベルのチームに挑戦。とはいえ、普通にやっては歯が立たないので、U15のクラブチームの対抗戦に唯一の高校生チームとして参加しました。参加メンバーは(手前左から)キャプテンの高瀬優奈、井手穂乃華、久保柚世、(後列左から)長野安莉、手嶌真耶、田中ひなのの6名です!
結果は……2試合ともに敗戦。中学生年代のトッププレーヤーにボコボコにされ、6人の選手のうち5人が足をつり、途中でゲームが成り立たなくなってクラブチームの見学に来ていた小学生を助っ人として入れることに(しかもその小学生がめっちゃ上手かった!)。それでも大事なのは結果よりも内容。今回は試合後のミーティングに参加させてもらいましたが、課題だけでなく収穫もあったようです。そして、みんなボコボコにやられても「バスケを楽しい」と思ってて良かった!
「バスケは楽しいし、好きだから続けています」
──中学生と2試合やって、どちらも大敗しました。まずはキャプテンから感想をお願いします。
高瀬 まずは相手がめっちゃ上手かった。誰か一人が上手いんじゃなくて、全員が動いて平等にパスが回って、良いチャンスを作って決めてくる。リバウンドも全員が絡んで、自分たちは決まった1人か2人が行くだけだから差を感じました。
久保 足がつっちゃいかん! みんな足をつって、私もつって恥ずかしかったです。でもみんなプレーできなくなっているので、自分はコートに立ち続けたいと思って無理やり走りました。そこで踏ん張れたのは良かったと思います。
手嶌 私も2試合目の後半始まってすぐ、跳んだ瞬間にピキッと。今抜けたらヤバいなあって。最後は小学生に入ってもらって、めちゃめちゃ助かったんですが、それもなあって(笑)。
長野 私は両足つったのは初めてです。あまりの痛さと、チームに迷惑をかけちゃうと思ったら泣けました。試合前に先生から教えてもらっていたプレーもできなかったし、悔いが残る2試合になりました。
井手 私だけ足がつりませんでしたが、みんなが痛んでるのを見て「私が動いてないから、負担をかけすぎちゃったなあ」と思っていました。1人か2人が足をつるのは毎回あるんですけど……。
「豆腐メンタルは永遠の課題だね」
──でも、今日の相手は中学生とはいえ結構レベルの高いチームでした。課題はたくさんあったと思うのですが、大敗した中でもできたこと、今後のプラスになったこともあるんじゃないかと思います。
高瀬 自分が思う、良かったところと悪かったところを一人ずつ言っていこう。私は、自分で攻める姿勢は出せたし、声も出せたと思います。自分がプレーでミスすると声を出せなくなっていくけど、みんなももっと声を出すべきだと思いました。私も中学の時は全然しゃべっていなかったけど、自分がやらなきゃと思うことで出るようになったので、他人任せにするんじゃなくて全員が声を出して、自分が目立ってやろうって気持ちがほしいです。
久保 個人的にはある程度は攻めることができたかな。パスはいっぱい出せたり、コーナーにも落とせたし、合わせもできたと思います。悪かったのはドライブに行ってからイージーシュートを落としたこと。これは練習するしかない。チームとして良かったのは、みんな楽しそうにプレーできたこと。足がつったけど、いつもの練習と変わらず楽しそうだった。今日の中学生を見ていて思ったのは、基礎がすごくできていること。すごいけど自分たちにもできている部分もあるから、真似してやっていけば少しずつでも近づけると思います。
手嶌 私の良かったところは、積極的にリバウンドに行けたところ。あと声もいつもより出せました。でも本当にキツい時はそれもできなかったので、ずっと続けられるようにしたいです。悪かったのはディフェンスで周りが見えていなかったところ。それでカバーに行けなかったり、カバーが遅くてファウルになったり。ちゃんと周りを見て、自分のことをやるだけじゃなく後ろからみんなに声を掛けられるようにしたいです。チームではリバウンドに行くのが私しかいないので、弾いた後のルーズボールやヘルドボールにもっとみんなで行けるようにしたいと思います。
井手 私はオフェンスリバウンドを取って得点できたのが良かった。悪かったところはいっぱいあって……。体力がないからオフェンスに行くのもディフェンスに戻るのも遅かったし、それで抜かれてシュートを打たれるシーンがいっぱいありました。あとオフェンスでボールを見すぎてチームの邪魔になるシーンが何度かあったので、周りをよく見て良いスペースを探して動けるようになりたいです。チームではこれまでみんなが言ったみたいに、任せすぎにならないこと。みんなでチームバスケができるように練習していかないといけないと思いました。
長野 私はずっと1対1ができなかったけど、最後の試合で自分で攻めることができたのは良かったです。シュートを決めたらもっと良かったですけど。悪かったところは体力がなくて反応も遅くて、先輩に任せきりになってしまうこと。あとは心で、ダメなプレーが続いた時に気持ちが落ちてしまうところ。今日は1年生が私だけで心細い部分もありました。これは気持ちの問題なので直したいです。
久保 豆腐メンタルは永遠の課題だね。でも安莉はまだ1年だから未来がある!
「今日はキツい思いをしたけど、楽しかったでしょ」
──スポ根っぽくなってきたけど、みんな普通の高校生で、バスケに人生を捧げているわけではないですよね。勉強もしないといけないし、私生活も充実させたいところで、バスケとどう向き合っていきたいですか?
久保 実は今日、福岡のチームと対戦して田舎と都会のファッションの差を感じました。おしゃれだし、なんか統一感があって、着ているものからして強そうだって思ったんです。
手嶌 試合前に練習している時に「ヤバっ、ドリブルのオシャレさがズボンのオシャレに合ってる」って(笑)。
久保 ウチらのプレーだったらズボンが浮くやん?(笑)
高瀬 一つ思ったのが、今日の中学生の子たちはバスケに将来を懸けているんだってこと。私たちにとってバスケは将来の先にはなくて、横にあると言うか、ちょっと入り込んでいるぐらい。みんな将来は看護師になりたいとか職業のことが頭にあるけど、あの子たちは純粋にバスケのことだけを考えて集中しているんだなあって。でも高校だと部活に入らない子も多いから、みんなが遊んでいるのを見ると「私はなんで部活してるんだろ?」と思うこともやっぱりあります。
久保 私たちは思春期だからね。勉強もしなきゃいけないし、遊びたいし、恋もしたいし。JKだし(笑)。でも勘違いせんでほしいけど、バスケも楽しんでます。バスケは楽しいし、好きだからこうやって続けています。
──みんなバスケで食っていくわけじゃないにしても、『バスケット・カウント』としてはこうやって取材させてもらって、みんながバスケをずっと大好きで楽しみながら、部活動で今後に残る何か大事なものを得られたらと思います。では顧問の椋園先生からも一言いただけますか?
先生 お疲れ様でした。足がつったことは、プレーどうこうよりもみんなで走らなきゃいけない思いを持っててもらいたい。体育館を毎日使えるチームは決して多くないんだから、環境が悪いから弱いとは思ってほしくないです。今日は1年生が1人しか来れなかったけど、良いメンバーが集まってやっています。今日は良い経験ができて、キャプテンが言ったように収穫もちゃんとあったと思う。みんなで走って速攻を決めたり、合わせのプレーがでたり、今まではできなかったこともできたよね? そういう経験ができるから、これからもできるだけたくさん遠征には連れていきたい。今日はキツい思いをしたけど、楽しかったでしょ。また練習を頑張ろうって思ったよね? リーグ戦もあるし新人戦もあるし、やっぱり今日の気持ちを忘れないで、もっともっと自分たちで練習しないと。いつも言うけど、一生懸命やれば絶対に良いことがあるから頑張ってやっていきましょう。
──ありがとうございます。それではキャプテン、最後にビシッと締めてください。
高瀬 端的に言うと、足をつったのがすごく恥ずかしかったというのが第一。普通に考えれば中学生に負けること自体が恥ずかしいです。練習試合をやるたびに痛感するのが体力不足で、あとシュートが決まらないこと。その2つの課題が絶対にあるので、これからの練習でちゃんとやっていこう。体育館ではボールを使った練習がしたいから、外練をこれまでよりもっと頑張って走る練習をして体力をつけよう!
全員 おおー!