文=丸山素行 写真=野口岳彦

「タフなゲームになるのは間違いない」

川崎ブレイブサンダースは開幕から6勝2敗、結果は出ているが内容は昨シーズンと比べるとまだまだ、という印象だ。

勝ってはいるものの、昨シーズンのような圧倒的な強さを発揮できずにいる。物足りないとネガティブに見ることもできるし、発展途上の段階できっちり勝ちを拾っていることをポジティブに評価することもできる。北卓也ヘッドコーチは言う。「僅差の試合で勝てていることが今までの経験なのかなと思います。ディフェンスが思った通りにいってないのが現状です。いろんな選手を使いながらどういう組み合わせがいいのか、生かせるかを見ながらやっている」

チームは常に新陳代謝を繰り返すもの。チームが東芝神奈川と呼ばれていた時代からその作業を繰り返してきた北ヘッドコーチは「私が求めてるレベルになっていないので、強度を上げてやっていかないと」と選手たちに厳しい目を向ける。

明日は平日開催、アウェー立川立飛でアルバルク東京とのワンマッチが組まれている。川崎にとっては7試合目にして初の『5強』との対戦であり、試金石となる重要なゲームだ。「トップを走っているチームなのでタフなゲームになるのは間違いない。現状のチームでどこまでできるか、どういう戦いができるか楽しみです」と北ヘッドコーチ。「リバウンドとルーズボール、そのへんがキーになってくるのかと。セカンドチャンス、余計な攻撃回数を与えないことが一番になります」とポイントを挙げた。

司令塔の篠山竜青「燃えるものはあります」

チームを引っ張るべき2人、篠山竜青と辻直人も気合が入っている。「まだ序盤も序盤ですし順位は意識していませんが、間違いなくチャンピオンシップとか大事なところで当たることが予想されるチームではあるので、燃えるものはあります」と篠山。

A東京ではポイントガードの安藤誓哉が好調だ。「どっちが点数を取るとか、そういう単純な勝負ではないポジションなのであまり意識はしていないんですけど」と前置きしつつも、「ピック&ロールが多いチームなので、その2対2をしっかりチームで抑える意識はあって、その中でもピック&ロールがうまい誓哉を抑えるという意識はあります」と篠山は言う。

「オフェンスよりもディフェンス。お互いに守り合いの要素が多いと感じています。どっちが我慢強くディフェンスできるのか、それでイージーな得点を増やせるのかで決まると思います」

爆発の予感漂う辻「田中大貴を相手にどこまでやれるか」

セカンドユニットの若手がチャンスを生かしどれだけステップアップできるかが川崎の大きな伸びしろ。だが、『特効薬』があるとしたら、それは辻の存在だろう。開幕前のケガが響き、ここまでのパフォーマンスは安定していない。それでも自身が「最低でも10得点」というノルマは3節6試合連続でクリアしており、そろそろ『爆発』してもいい頃だ。

明日のA東京戦で辻が燃えるのは、チームの今の実力が問われる試合であるからだけではない。田中大貴とのマッチアップでどこまでできるか、辻も実力が問われるところだからだ。「リーグで一番ディフェンスがうまい選手だと僕は思っているので、サイズもありますし。それを相手にどこまでやれるか」と辻は言う。

「自信は?」と問うと、ニカッと笑って「体力次第です」と答えた。「シュートタッチに関しては不安はないので、失うものはない感じです。得るものしかない」

そんな辻が意識しているのは得点とターンオーバーの2つ。「僕はシュートが入るとディフェンスも乗ってくるタイプ。出だしの1本が決まれば足もすごく動きます」と笑う。ただ今回は田中大貴の激しいディフェンスを受けつつ、ターンオーバーをいかに減らせるかがカギになる。「最近はミスも多いので、そこを少なくできれば必然的にアシストも増えます」

勝っているのに不完全燃焼な感じがするのは、昨シーズンの下位チーム相手に接戦を演じているから。明日、内容も結果も伴う試合ができれば、チームへの評価は一変するはずだ。それを肌で感じているからこそ、ヘッドコーチ以下、全員が並々ならぬ決意で明日の試合に臨むのだろう。

アルバルク東京vs川崎ブレイブサンダースは、アリーナ立川立飛で19時35分ティップオフだ。