写真=Getty Images

分厚い選手層を誇るキャブズならではの『贅沢な悩み』

キャバリアーズに移籍したドウェイン・ウェイドが、役割を見いだせず苦しんでいる。

元来ウェイドは、オフェンス時にチームの1番手、あるいは2番手の選択肢として活躍するタイプ。ある程度は自分を主体にオフェンスを組み立てることが、彼にとっては望ましい環境だ。しかし、キャブズのファーストオプションはレブロン・ジェームズで固定されており、セカンドオプションの候補者は数多く存在する。オフェンスはレブロンを起点に組み立てられ、そこから誰を生かすかは展開次第で様々に変わる。

10月21日のマジック戦に先発出場したウェイドは、フィールドゴール8本中2本成功の5得点に終わった。当然、彼にとっては満足できない数字である。試合後、チーム内での役割について「これまでとは大きく異なるから、このチームでどうプレーするのがベストなのかを模索しているところだ」と語っている。

ウェイドは、シュートを多く打ってリズムに乗るタイプ。しかし、キャブズでの公式戦3試合を終えて放ったシュート数は1試合平均8.3本で、ブルズでの昨シーズンに記録した15.9本の約半数に減っている。ウェイドは開幕からの3試合で平均5.7得点しか記録していないが、これまでの試合で放ったシュートは悪くなかったと考えている。マジック戦で放ったシュートについてもこう説明する。「タフショットではなかった。ただ決まったのが2本だったというだけ。すべてのシュートに完璧さを求める選手もいるけれど、バスケットボールはそういう競技じゃない。10本中8本入る時もあれば、8本中2本の場合もある」

とはいえ、このままウェイドという強力な手駒を機能不全のままにしておくわけにはいかない。どうすれば機能するかを見いださなければならないのは、彼だけでなくチームも同じ。盟友であるレブロンも、ウェイドをリズムに乗せることが大事だと考え、こう語っている。「彼に攻撃の中心を担ってもらわないといけないケースも出てくるだろう。どうすれば良いかをチームで考えているところだよ。火曜の試合(ブルズ戦)で、彼がリズムに乗れれば良いね」

キャブズに合流したのはトレーニングキャンプ開始時期と遅く、新たな環境に適応するだけの準備期間が足りなかった影響もある。ウェイドほどのベテランなら、調子を上げるのに何をすれば良いか理解しているはずだ。

ただ、これからウェイドが状態を上げたとしても、新たな問題が浮上するだろう。年末か年明け早々にはアイザイア・トーマスが復帰する。そうなれば再び2番手オプションになる選手が増え、また『調整』が必要になるだろう。選手層が薄いチームからすれば贅沢な悩みだが、キャブズ版『スーパーチーム』の完成形が見られるまでは、もう少し時間がかかりそうだ。