ジェームズ・ハーデン

ハーデンへのダブルチームを逆手に取り大勝

ロケッツはナゲッツを130-104と粉砕して年内最後のゲームを終えた。ナゲッツは直近の10試合で9勝1敗とリーグで最も調子の良いチームだったが、前半から圧倒。第3クォーターに反撃を浴びて3点差まで詰められたが、最終クォーターに再び突き放し、終わってみれば4分を残してナゲッツに主力を下げさせる完勝に終わった。

ジェームズ・ハーデンにとってはリベンジマッチだった。前回のデンバー戦で、ハーデンがハーフコートラインを超えればダブルチーム、という徹底した対策が効いてロケッツは今シーズン最少の95得点に終わり、95-105で敗れている。ハーデン自身はそれでも27得点を奪ったのだが、多くのポゼッションを他の選手に託さざるを得なくなった結果、チームオフェンスのリズムが乱れ、ナゲッツの注文通りの結果となった。

これだけ劇的に結果が出れば、どのチームもこのハーデン対策を真似てくる。今ではどの試合でもハーデンはダブルチームを受けることになった。それまで11勝3敗だったチーム成績は、ナゲッツ戦の後に12勝7敗と失速している。

この試合でもジャマール・マレーが、ポール・ミルサップが、トーリー・クレッグが常にハーデンから目を離さずに、タイトなディフェンスを徹底してきた。ハーデンは3ポイントシュートの試投数が久々に2桁に達しなかったが、それでも9本中6本と高確率で沈めて35得点。ダブルチームに対して無理に攻めるのではなく、オフェンスの主導権をラッセル・ウェストブルックに託し、周囲もよくサポートしたことで130得点を稼ぎ出した。

ナゲッツ相手に大量得点を奪ったことで、ハーデンへのダブルチームを乗り越える対策は完成したと言っていい。指揮官のマイク・ダントーニは「相手チームがハーデンにダブルチームに行くのは毎試合のことだし、何千回と繰り返し見てきた」と、乗り越えて当然との表情で語る。「簡単な話だよ。ハーデンにダブルチームが来たらパスする、それでウェストブルックが4対3を仕掛ける。そうやってチームとして良いシュートを作り出せばいいんだ」

ハーデン自身は徹底的なダブルチームを受ければ自分のリズムでプレーできず、ストレスを感じるのは当然のこと。それでも彼はチームとしての対策が上手く行ったことに満足しており、「ダブルチームは僕へのリスペクトの証だよ」と語る。

ロケッツにとって12月は『超』が付く過密日程だったが、スケジュールもしばらくは落ち着く。ようやくベストの布陣が組めるようになり、ハーデン対策への対策も形になった。ロケッツはまだまだ調子を上げていきそうだ。ハーデンも同じことを言う。「チームの先行きはポジティブに見ている。まだまだ僕らが望む形はできていないけど、近づきつつあるよ」