文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

第3クォーターで22-6と突き放し勝負アリ

アルバルク東京と横浜ビー・コルセアーズの第2戦。攻守が噛み合い後半に突き放したA東京が勝利した。

横浜はキャプテンの湊谷安玲久司朱が右足アキレス腱断裂により長期離脱を余儀なくされ、先発センターのジェイソン・ウォッシュバーンも練習中のケガで欠場と苦しいチーム状況。それでも、序盤は横浜がゾーンディフェンスでA東京にリズムを作らせず、高島一貴の3ポイントシュートで9-5と先行する。だが残り4分を切った場面でハシーム・サビート・マンカが竹内譲次との小競り合いからアンスポーツマンライクファウルをコールされたのを機に、流れが変わる。

A東京はジャワッド・ウィリアムズの速攻で逆転し、安藤誓哉が2本の3ポイントシュートを含む8得点を記録。第1クォーターを20-15で終えた。第2クォーターもA東京が先行するが、終盤に入って田渡凌の速攻と3本のフリースローで差を詰められ、37-32で前半を折り返した。

試合が動いたのは第3クォーターだ。A東京はディフェンスの強度を高め横浜に襲い掛かる。高い位置からボールマンにプレッシャーを与え、パスの受け手にもディナイでパスコースを作らせず、ショットクロックを気にしながらのタフショットを打たせ続けた。

オフェンスでは定石どおりの外のシュートに固執せず、ドライブでゾーンを攻略。菊地祥平のパスカットからの速攻、竹内のフリースローが決まり、8-0と走ったA東京が開始2分弱で点差を2桁に乗せた。インサイドアウトからのカウンターや、スクリーンからズレを作り何度もペイントエリアに侵入。横浜はファウルで止めるのがやっとで、インサイド陣は揃ってファウルトラブルに陥った。

このクォーターだけで14本のフリースローを獲得したA東京は攻守が噛み合って、22-6とこのクォーターを圧倒。59-38と点差を20に乗せ、試合の趨勢を決めた。最終クォーターにジェフリー・パーマーが7得点、サビートが10得点と横浜も意地を見せるが、4人が3ポイントシュートを沈めたA東京がこのクォーターでも上回り、最終スコア82-57で勝利を収めた。

ゾーンディフェンスを攻略する『横綱バスケ』

A東京の指揮官、ルカ・パヴィチェヴィッチは、プラン通りに作戦を遂行した選手を称えた。「我々のリズムを崩そうとゾーンを長く敷いてくることは想定していて、しっかり対応できた。ディフェンスを動かしてオープンの選手を探し、フリーのシュートを打っていった。守備では激しいディフェンスからマイボールにして走る時は走ったことが良かった」

両チームトップの9アシストを記録し、ゾーンを攻略する上で大きな働きをした田中大貴は「相手がずっとゾーンをやってきて試合のテンポがなかなか変わらず、やりにくさはあったのですが、ゾーンに対しての攻めは昨日より良かったし、ディフェンスも今日のほうが良かった。チームとして成長してるんじゃないかと思います」と十分な手応えのあった試合を振り返る。

一方、大敗を喫した横浜だが、古田悟ヘッドコーチは故障者を言い訳にすることなく、冷静に試合を振り返った。「インサイドにサビートを置いて、ドライブに対してフィニッシュの部分でブロックに期待したのと、A東京はマンツーマンよりもゾーンが苦手だと思っていた」とゾーンディフェンスの意図を説明。それでも「修正できた部分もありましたが、ゾーンを引っ張りすぎた」と自らの采配を敗因に挙げた。効果が見られたが時間が経つにつれA東京に対応されて、変化をつけることができなかった。

また「オフェンスで単発的なプレーが多くなり、自分で打つというより打たされた状況が多くなって点数が伸びませんでした」と第3クォーターの失速を振り返った。

A東京はホームで連勝し、5勝1敗で首位キープ。次節はアウェーで栃木ブレックスと対戦する。