今シーズンのキャブズはスモールラインナップを採用
ドウェイン・ウェイドの加入により、先発の座を奪われたJR・スミス。表向きはチームのために与えられた役割をこなしているが、内心ではフラストレーションを溜めていることを『Cleveland.com』に明かした。
カイル・コーバー、イマン・シャンパートを擁し、常に競争が激しいチームでシューティングガードの軸となってきたJR・スミスだが、ウェイドの加入により控えスタートが濃厚。プレシーズンゲームでもシックスマンの役割を与えられている。
もっとも、キャブズにとっても新ラインナップは実験そのもの。ケビン・ラブをセンターに配置するスモール・ラインナップの効果のほどは、実戦で試してみなければ分からない。ウォリアーズの機動力と総合力に対抗するには、これまでの延長線上のチームでは難しい。それは昨シーズンのNBAファイナルで思い知らされた。だからこそ、タロン・ルーも新たなラインナップの導入を決めたのだろう。
スミスは『Cleveland.com』に「先発を奪われて腹が立つ」とコメント。これまでのスミスなら、ベンチ起用に怒り、我を忘れてしまっていたかもしれない。だが32歳になり、結婚して子供も生まれ、その考え方にも変化が見て取れる。スミスは、ラブのセンター起用により同じくセカンドユニットに回ったトリスタン・トンプソンと話し合ったことを明かし、「彼とは話しているよ。決してすべて前向きな会話ではなかったけれど、彼と一緒に乗り越える」と語った。
もっとも、ウェイドの加入に怒りを感じているわけではない。ウェイドのNBA優勝3回のキャリアには敬意も持っている。今回の不満は純粋にチーム内の競争で敗れた自分への怒りだろう。
ファーストユニット、セカンドユニット、そしてサードユニットまで組むことができる今シーズンのキャブズにおいて、誰が先発かはさほど問題ではない。勝負どころで攻守ともに相手を上回る最適な組み合わせを見つけることが、4年連続のファイナル進出、球団史上2回目の優勝にとって重要視される。
ベンチスタートではあっても、キャブズがJRの実力を軽視しているわけではない。本人も自分に求められている役割を理解している。長いシーズン中には先発出場の機会も出てくるだろうが、もしJRが勝負どころで違いを生み出す『Xファクター』としての役割に専念すれば、対戦相手にとってこれほど脅威になれる選手はいない。
豊富な戦力を誇るキャブズが一枚岩になるためには、新旧の選手が高いモチベーションを維持しながらの健全な競争が欠かせない。