文・写真=鈴木栄一

ぶっつけ本番も連日の得点量産でチームを連勝に導く

開幕節で連敗スタートとなった三遠ネオフェニックスだが、10月7日、8日と敵地でのサンロッカーズ渋谷戦に連勝し、勝率を5割に戻した。この2試合でチームを牽引したのが、新加入のカルティエ・マーティンだ。右肩の故障により開幕直前のプレシーズンゲーム、そして開幕節と続けて欠場と藤田弘輝ヘッドコーチ曰く「ケガもあってほとんど練習ができてなくて、まだオフェンスは行き当たりばったりでやったりしているところもあります」という状態でありながら、7日は26得点、8日は17得点と2日続けてゲームハイの得点をマーク。上々のBリーグデビュー戦を飾っている。

NBA通算243試合出場のマーティンは、201cm100kgの体格で、アメリカでは主にシューティングガード、もしくはスモールフォワードでプレーしてきた。三遠にとっては、昨シーズンにおける元NBAのビッグネームだったジョシュ・チルドレスと同タイプの選手と言える。

「チルドレスもすごく良いリーダーでしたが、マーティンも同じようによく声をかけてくれる素晴らしいリーダーです。また、ハードにプレーしてフィジカルにも強く、こういったディフェンスの我慢が必要な試合でも彼の存在はすごく大きいです」と指揮官はマーティンを評し、得点面だけでなくディフェンス面においても頼りにしている。

マーティンは「コンディションは万全ではなく、自分本来のプレーではありませんでした」と認めつつも、「もっと良いプレーができることは分かっているし、毎日上がっていくのを感じている」と現状を語る。

ぶっつけ本番での公式戦デビューとなったが、「バスケットボールは自分の魂であり、試合に対してナーバスになったことはない。常に試合の準備はできている。競争するのは好きだし、いつもエキサイティングな気持ちでプレーしている」と不安なく試合に臨んだと振り返っている。

「プレーメーカーとしても貢献できるのが自分の強み」

SR渋谷といえば、ロバート・サクレ、ジョシュ・ハレルソンとともに210cm近い長身の外国籍選手を擁するが、「コンタクトの強さを生かし、ビッグマンを相手に守ることはできる」と、自分よりサイズの大きい相手への対応にも自信を見せる。本職はガードの選手であり、アウトサイドシュートとスピードという強みを生かし、相手ビッグマンを翻弄していく。

「これまではシューティングガード、スモールフォワードでプレーしてきた。アウトサイドからのシュートではビッグマンに対してアドバンテージがある。まずはアウトサイドからシュートを決めきる。シュートを決めれば相手は近くに来るしかない。そうしたら自分には抜く力がある。ドライブした後、パスをさばくこともできる。プレーメーカーとしても貢献できるのが自分の強みだと思っているよ」

そして司令塔の鈴木達也が「日本人としては去年のチルドレスの時と同じようなことをすれば必ず良いことが生まれると信じて、スクリーンをかけたりなど動いています」と語れば、マーティンも「もっとチームメートを使うプレーをしないといけない」と、エゴのないチームプレーヤーであるところも魅力だ。

昨シーズンのBリーグでは外国籍ガードとしてディアンテ・ギャレットが華麗なプレーで観客を魅力した。技のギャレットに対し、剛のイメージが強いマーティンだが、彼が今シーズンを代表する外国籍ガードとしてリーグを席巻する可能性は十分にある。そうなった時、三遠は昨シーズン以上の躍進が期待できるはずだ。