写真=Getty Images

アンダーソン・ヴァレジャオがリバウンドを制して勝機を呼び込む

まるで、前後半でチームが入れ替わったかのような試合だった。

6月10日、クイックン・ローンズ・アリーナで行なわれたウォリアーズvsキャバリアーズのNBAファイナル第4戦。ウォリアーズはファイナルでの1試合最多となる17本の3ポイントシュートを成功させ、108-97で勝利した。これでシリーズ成績を3勝1敗とし、2連覇に王手をかけた。

レブロン・ジェームズは第3戦を前に「生きるか死ぬかの戦い」と語っていたが、この試合にも同様の気持ちで臨むとコメント。その言葉通り、第1クォーターから積極的なディフェンスを仕掛け、ステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンへはスウィッチの多用で抑え、インサイドではトリスタン・トンプソンがリバウンドを制する、という理想的なディフェンスを披露する。

しかし、これを48分間やり続けなければ、王者ウォリアーズの牙城は崩せない。試合が進むに連れ、キャブズの選手たちの動きは鈍くなっていった。

試合の潮目が大きく変わったのは、第3クォーターの残り4分7秒以降。キャブズはトンプソンを下げ、ケビン・ラブとジェームズと中心とするスモールラインナップへとシフトした。この戦術変更に対し、ウォリアーズはアンダーソン・ヴァレジャオを投入し、確実にリバウンドを制するラインナップを組む。これが功を奏し、ウォリアーズは第3クォーター残り2分24秒から約1分間ポゼッションをキープ。この間、ヴァレジャオはオフェンシブリバウンド2本を奪い、形勢逆転のキーマンとなった。

第4クォーターを2点のビハインド(77-79)で迎えたウォリアーズだが、相手はオフェンスもディフェンスも停滞しつつあり、主導権を奪い返す流れにあったのは誰の目にも明らかだった。第4クォーター序盤、ウォリアーズは12-1のランを決めて逆転に成功すると、残り5分56秒の時点で93-84と突き放す。

何とか流れを呼び戻したいキャブズだが、オフェンスは単調で、ボールも十分に動いていないためリズムが悪く、シュートが決まらない。肝心のジェームズもこの展開にいらだって集中を欠いてしまう。終盤にグリーンと小競り合いを起こした他、88-96で迎えた残り1分12秒には、2本とも決めれば2ポゼッションゲームに戻せるはずだったフリースローの2本目を外すなど、狂った歯車を修正するどころか、自らも悪い流れに飲み込まれてしまった。

ウォリアーズは、最後の1分に得たフリースローを確実に沈めて勝利。3勝1敗と王手をかけ、ホームのオラクル・アリーナに戻るという最高のシチュエーションを手にした。

第5戦は、6月13日に行なわれる。

カリーは7本の3ポイントシュートに加え、10本中9本のフリースローを沈めゲームハイの38得点を記録した。