文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

相手のハイプレッシャーを受けて後手に回った川崎

2年目のBリーグが開幕。昨シーズンにセミファイナル進出を果たした川崎ブレイブサンダースはホームのかわさきアリーナに名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎えた。

立ち上がりから相手のプレッシャーディフェンスに対して引いてしまい、リズムに乗れない川崎。ニック・ファジーカスにボールを集めて打開を図るが、ファジーカス以外の得点が伸びず、前半を終えて30-46と大きなビハインドを背負った。ファジーカスが川崎の30得点のうち14得点を挙げる偏りだった一方で、起用した11選手のうち10選手が得点する名古屋Dのバランスの良さが光った。

それでも後半に入ると川崎がディフェンスの強度を高めて立て直し、さらには第3クォーター半ばにジャスティン・バーレルがファジーカスをうまく止めたと思ったところでファウルをコールされて激怒、テクニカルファウルを取られて名古屋Dがリズムを崩す。ここから川崎は藤井祐眞にも当たりが出て追い上げを開始した。

48-54でスタートした最終クォーター、オン・ザ・コート「2」になりジョシュ・デービスが高さを発揮。このクォーターだけでオフェンスリバウンド4本をもぎ取り、チームにさらなる勢いを与える。残り5分34秒、デービスがオフェンスリバウンドを抑えてすぐさまパスアウト。待ち構えたファジーカスが3ポイントシュートを沈めて62-60と逆転に成功した。

ジャスティン・バーレルが汚名返上のクラッチプレー

我慢すべき時間帯に踏ん張れずにリードを吐き出した名古屋Dだが、痛快な逆転劇にとどろきアリーナが沸いたこの瞬間にもう一度チームとして引き締め直すことに成功。若いチームの名古屋Dは昨シーズン、劣勢になると集中力を保つことができず簡単に崩れていったが、この試合では違った。崩れることなくクロスゲームに持ち込み、残り1分44秒にテクニカルファウルの後はベンチに下がっていたジャスティン・バーレルをコートに戻して勝負をかけた。

結果的に、この起用が当たる。梶山信吾ヘッドコーチは「JB(バーレルの愛称)のことは信用していて、最後はJBに決めてもらおうと思っていた」と振り返る。名古屋Dはラスト3つのオフェンスをすべてバーレルに託し、バーレルは3本のシュートをすべて成功させた。ラストプレーは残り3秒のジャンプショット。第3クォーターの『ご乱心』が嘘のように落ち着きはらったバーレルが決勝シュートを沈め、77-76と土壇場でリードを奪った名古屋Dが勝利した。

残り1分を切って逆転が相次ぐシーソーゲームを制した梶山ヘッドコーチは「ヘッドコーチとして初めての試合だった割には落ち着いていたかな」と笑顔を見せた。「弱点はメンタリティの弱さでしたが、練習中から常に意識しながらハードにやっていく中でメンタリティは養っていけると思う。メンタルの強い柏木が良いお手本、良い刺激になると思う。まだ甘いかもしれませんが、この1勝は自信になる」と語った。

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