ケビン・ラブ

「このチームのカルチャーは健在だ」

2シーズン前まで、NBAはウォリアーズとキャバリアーズの2強体制だった。今、ウォリアーズの『王朝』が終わったのかどうかが話題になっているが、一方のキャブズはどうだろうか。昨年夏にレブロン・ジェームズが退団を決めた時点で、その黄金期は終わりを迎えた。

再建期に入ったキャブズは若手の成長にフォーカス。開幕から先発に据えられた20歳のコリン・セクストンと19歳のダリアス・ガーランドのバックコートコンビは試合のたびに成長しており、3年目のジェディ・オスマンも主力に定着。若い選手は期待に応えている。

キャブズが変わる中で、変わることなくチームを支えているのがケビン・ラブだ。

「彼はレイカーズとキャブズで迷っていた。でも、レイカーズを選ぶことは予想できたよ。ブロンは常に新たな挑戦を求めるからね。当然、彼が抜けて厳しいのは間違いない。素晴らしい選手であるだけでなく、クラブのアイデンティティでもあったからね」とラブは『ESPN』に語る。

昨シーズンのキャブズは19勝63敗で東カンファレンスの14位と低迷した。ただ、このシーズンはラブがケガで22試合にしか出ていない。レブロンが不在でも、ラブがいるのといないのとでは大きな違いがある。

「レブロンはもういないけど、すべてがなくなったわけじゃない」とラブは言う。「このチームのカルチャーは健在だ。ハードワークというカルチャーがね」

キャブズでの6シーズン目を迎えたラブは、開幕から全試合出場、平均32.9分のプレーで18.3得点、13.4リバウンド、3.7アシストとマルチな活躍を見せ、若いチームを牽引している。チームはここまで4勝5敗、少なくとも昨シーズンとは別のチームだ。

ラブが今のチームの軸なのは間違いない。ただ、気になるのは「今後も軸であり続けるか」だ。ケガが長引きどれだけプレーできるか分からない昨シーズンの状態ならともかく、健在ぶりを証明している今シーズンのラブを見れば、優勝争いをするクラブが獲得に動いても不思議ではない。特に優勝争いの経験において、ラブほど場数を踏んでいる選手はそう多くない。

「キャブズにとって今は重要な時期で、今の新たなチームを成長させていくことにモチベーションを感じている」とラブは言う。コービー・アルトマンGMもチーム再建の中心となるのがラブだと繰り返し語っているが、再建期にあるキャブズが例えばドラフト1巡目指名権を提示されてもラブを引き留めておけるのか。トレイルブレイザーズが彼に興味を持っているとの噂もある。

再建への一歩を踏み出したキャブズだが、大きな決断を迫られる時がいずれやって来そうだ。