デュラントが尊敬する得点力を誇った殿堂入り選手
バスケットボール殿堂入りを果たしたトレイシー・マグレディは、NBA史に残るスコアラーだ。NBA優勝こそ達成できなかったものの、その得点能力は現在のNBAでNo.1のスコアラーであるケビン・デュラントも舌を巻くほどの域に達していた。
デュラントは、マグレディの殿堂入りを称え、Twitterに次の祝福メッセージを投稿。「試合で大事なのは常に点を決めること。得点能力という話になれば、T-Macのような選手はいない。本当に信じられないくらいすごいよ。殿堂入りした選手の中でもNo.1だ。尊敬している」
殿堂入りに先がけ、NBAが製作したマグレディのキャリアハイライトを見れば、その圧倒的な個人技のレベルが分かる。 全盛期には1対1でほぼ負けなかったマグレディが残した伝説といえば、やはり2004年12月9日のスパーズ戦で見せた『35秒13得点』だろう。
ロケッツが第4クォーター残り40秒の時点で8点ビハインド(68-76)という状況でも、マグレディは勝負をあきらめていなかった。まず3ポイントシュートを1本成功させると、続けて右ウィング付近からティム・ダンカンのファウルを誘いつつ再び3ポイントシュートを成功させ、フリースロー1本も沈めて4点プレーを決める。徹底マークされながらも3本目となる3ポイントシュートを成功させ2点差(78-80)に。次のポゼッションでスパーズが痛恨のターンオーバーを喫すると、ボールを持ったマグレディは迷うことなくドリブルで駆け上がり、残り1.7秒に4本目の3ポイントシュートを沈めてロケッツが逆転し、稀に見る大逆転勝利を収めた。 同じ時代に活躍したコービー・ブライアント、アレン・アイバーソンと比べても遜色ないスター性を持ったマグレディは、今もファンの間で『ケガさえなければ……』と言われる名選手の一人。13年前の伝説を改めて見直してみると、NBAの中でも常人離れした得点能力を持った選手だったと理解できる。
無名だった高校時代、アディダスのバスケットボールキャンプで評価を一変させたハングリー精神の持ち主だったマグレディは、決して勝負を諦めない天才スコアラーだった。デュラント、レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリーを見てNBAを好きになったというファンの中には、殿堂入りが伝えられるまでマグレディの存在を知らなかったファンもいただろう。コービー、アレン・アイバーソンらと同じ時代に輝いた『T-Mac』のプレーは必見だ。