「最高ではないけど、グッドなスタート」
京都ハンナリーズは開幕6連勝の後に3連敗を喫したが、立て直しに成功した。特にアルバルク東京、千葉ジェッツと強豪相手のアウェーゲームをいずれも1勝1敗で乗り切れたのは大きい。昨シーズン逃したチャンピオンシップ出場へ向け順調なスタートを切った。
今シーズンも絶対的な大黒柱として京都を牽引するのはジュリアン・マブンガだ。ここまで1試合平均20.6得点、8.7アシスト、7.1リバウンドとリーグ最強のオールラウンダーとして君臨している。
「島根(スサノオマジック)、新潟(アルビレックスBB)を相手に勝てるチャンスがあったのに競り負けてしまった。だから最高ではないけど、グッドなスタートだ」
このように語るマブンガは、A東京、千葉相手にそれぞれアウェーで1勝を挙げたことに「重要な勝利だ。今、千葉はいつもより成績は良くないけど、とても良いチームだから」と手応えを語る。同時に「相手に関係なく、あくまで目の前の試合に勝つことに集中するだけ。すべての試合が重要な意味を持っているからね」と気を引き締める。
これまでと変わらないとも言えるが、マブンガが攻撃の舵取り役として特に意識していることはインサイドアウトだ。「ジャンプシュートを最初から打つのではなく、まずはインサイドにアタックしていかないといけない。そうなれば守備が収縮するので、パスを出すのが簡単だし、より多くのパスを回せることができる」
これを彼がしっかり有言実行しているのは、ここまでリーグ1位となる1試合平均8.4本のフリースロー試投数が示している。しっかりとゴール下にアタックするからこそ、ここまで多くのファウルを獲得できていると言える。
デュオに自信「俺たちを止めることは難しいはずさ」
相手は、マブンガを抑えるため様々な作戦を講じてくる。今回の千葉との連戦のように、外国籍選手ではなく、日本人選手をマークにつかせてくるケースもある。この点について、本人はこうとらえている。「日本人選手にマークされるのは、時に外国籍とのマッチアップより突破するのが難しくなる。外国籍選手がヘルプにすぐに来るからね。多くのチームがいろいろなことをしてくる。ただ、インサイドアタックを意識し、マッチアップの状況によってそれぞれのアドバンテージを生かすだけだ」
そして、相手がどんなに徹底マークをしてきても忘れてはならないのが、マブンガにはデイビット・サイモンという心強い相棒がいること。彼らのピック&ロールは阿吽の呼吸で円熟の域に達している。まさにリーグ最強のワンツーパンチといえる連携には、マブンガも絶対的な自信を見せる。
「サイモンとはオフシーズンも連絡を取っていて、日本に来る前にはシカゴで一緒にワークアウトをした。俺たちはコート内だけでない、コート外でも素晴らしい関係にある。互いのことを熟知しているんだ。俺たちのツーメンゲームを相手が止めることはできない、とまでは言わないけど、止めることは難しいはずさ」
「自分のできる最高のハードワークをするだけ」
また、今シーズンの京都には、2人のコンビプレーを助けてくれる心強い長距離砲もある。シューターの松井啓十郎の存在はもちろんのこと、マブンガは「タイチ(中村太地)が3ポイントシュートを決めてくれる」と同じ新加入の司令塔、中村太地のシュート力も大きなプラスと強調する。
実際、中村はここまで3ポイントシュート成功率が48.3%と高く、京都が競り勝った2日の千葉戦、前半の終盤に巧みなパス回しから作り出したシュートチャンスで、中村が3ポイントシュートを2本連続で決めたことがチームに勢いをもたらした。
変わらぬ強みに新たなる武器を得た今のチームに、マブンガも「京都は西地区の優勝候補だと思う。琉球(ゴールデンキングス)、名古屋(ダイヤモンドドルフィンズ)も良いチームで、彼らとはまだ対戦してないが、差はほとんどないはずだ」と手応えを得ている。
「時に疲れることもある。ただ、(浜口)炎さんとしっかりコミュニケーションをとって起用法も配慮してもらっている。どんな状況でもその時で自分のできる最高のハードワークをするだけだ」。そう語る彼がいる限り、京都はどんな相手にとっても脅威の存在であり続ける。
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